茨城空港の発着制限緩和 29日開始 路線拡大へ検討会 有識者交え議論

茨城空港(資料写真)

茨城県は26日、茨城空港(同県小美玉市)の民間機の増便に向け、原則として「1時間に1着陸」としてきた運航ルールの弾力化を正式に決定したと発表した。29日から運用を始める。年度内に有識者を交えた検討会を立ち上げ、弾力化したルールの有効な活用方法や空港設備の整備の必要性について議論する方針。国内外の航空会社や旅行会社に周知し、定期便やチャーター便の発着拡大を目指す。

茨城県と航空自衛隊百里基地、国土交通省百里基地空港事務所が24日、会合を開催。民間機の1時間当たりの着陸便数の増加について、空港の運用に支障がない範囲で弾力的に受け入れることを確認した。

企業や富裕層が商用目的で使うビジネスジェットについても、駐機場の空き具合や地上作業の状況などを確認し、3者で協議した上で、支障がない限り受け入れを解禁するとした。

決定に先立ち、大井川和彦知事は9月27日、自民党の額賀福志郎元財務相(衆院茨城2区)と国交省を訪問。茨城空港の従前の着陸ルールについて、柔軟な運用などを求める要望書を提出した。これに対し、斉藤鉄夫国交相は「県と連携して実現へ対応したい」と述べ、着陸枠の弾力化へ前向きな回答を示していた。

県空港対策課によると、検討会はルールを有効に活用するために開く。年度内にメンバーを決め、来年度から本格的に意見交換を進めるとしている。

茨城空港の開港以前、県と国交省、防衛省の3者は百里基地と「民間機の1時間当たりの着陸便数は当面1便を基本とする」と定めた民間共用に関する合意書を交わした。茨城空港は2010年3月、同基地との共用空港として開港した。

だが後続便の着陸に60分以上の経過が必要なことから、乗り入れる航空会社の運航計画が立てづらく、増便拡大に影響があった。これを踏まえ、基本便数については「変更の必要が生じた場合、両省間で再検討する」とあることから、県は国に弾力化を求めていた。

同課は「航空業界と意見交換を進め、新たなルールを生かして路線拡大やチャーター便の誘致に努める。ビジネスジェットの乗り入れも実現させ、県内の経済や観光、地域活性を図りたい」と意欲を示した。

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