ノリス、ドライバーらが“故意にコース外で追い抜きをしている”と問題視。FIAの対応に一貫性がないことも指摘

 マクラーレンのランド・ノリスは、コース外でライバルをオーバーテイクする行為に対するペナルティは取るに足らないものであり、制裁よりも利益の方が大きくなる可能性があるため、ドライバーが故意にルールに違反するよう仕向けるだけだと考えている。

 ノリスは、チームメイトのオスカー・ピアストリがF1第19戦アメリカGPのスプリントレースで巻き込まれたケースについて言及した。ピアストリはCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)のターン1でジョージ・ラッセル(メルセデス)に外側からオーバーテイクされたが、その際ラッセルはランオフエリアを利用して優位に立った。

 ラッセルはポジションを戻さず、スチュワードから5秒ペナルティを科されたが、最終結果でピエール・ガスリー(アルピーヌ)にポジションを奪われて7位から8位に落ちたに過ぎなかった。レース後にノリスは、ペナルティも辞さないドライバーにより厳しい制裁を科すことを検討するよう、このような意図的な動きについて過去にFIAに注意を喚起したと述べた。

2023年F1第19戦アメリカGPスプリント ジョージ・ラッセル(メルセデス)

「僕が少々ばかげていると思っているのは、こうしたことはドライバーズブリーフィングで何度も取り上げられているということだ。この点については毎回持ち出されているし、ジョージ自身もバルセロナで取り上げていた。ターン1で外側のラインに行ってやりすぎるんだ。コースオフすることで2台のマシンを抜くことができる。ロシアでもターン1と2でそういうドライバーたちを目にしたようにね」

「これは自分自身で簡単に備えられることだ。ドライバーたちは故意にそうするつもりだという結論に至ったのだと、僕は確信している」

「まさにこのことを話し合った。簡単にそうできることについて議論した。もし速いドライバーなら、誰かを追い越して5秒引き離すことは簡単だ。たとえばモナコでシケインをショートカットすればね」

「彼ら(FIA)が出てきて、『我々が対応するから、ポジションを戻すように』と言っていたけれど、今ではそうする必要さえないという前例ができてしまった」

「またしても一貫性に欠けていることなので、僕は少し驚いている。そうしたことが起きた時に彼らがどう対処するか、かなり明確なガイドラインがある。でも明らかにそうはなっていない……」

 ノリスは、ルールによってドライバーにポジションを戻させるか、より厳しいタイムペナルティのリスクを負わせるべきだと提案した。

「間違いを犯したら、ポジションを戻すべきだ。そうするリスクを犯してルール違反をしたのなら、すぐに戻すべきだ」

「ペナルティを全体的にさらに厳しくする必要がある。ドライバーたちは多くのことから逃れている」

2023年F1第19戦アメリカGP 2位に入賞したランド・ノリス(マクラーレン)

 ピアストリは、ラッセルの行為とその後のペナルティが、特に非常に速いマシンに乗っている他のドライバーたちに対して、日曜日のレースで同じことをするよう促すことになったかもしれないと同意した。

「マシンのポジションを入れ替えるのはあの状況ではそれほど難しくなかったはずだと思う」とピアストリは語った。

「5秒ペナルティしか科されないのなら、特に長いレースの場合、遅いマシンを早く抜くことができれば都合がいい」

「何人かのドライバーは(そうすることを)前もって計画するかもしれない。この一件が、そうすることに対する一種のペナルティについて前例のようなものを作ったのは間違いない。速いマシンに乗っていれば、相手が誰であろうとオーバーテイクしようという動機が与えられるんだ」

2023年F1第19戦アメリカGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

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