バイオガスプラントの課題は? 脱炭素への関心高まりに商機 液肥3倍濃縮実験も 南丹 

家畜の排せつ物を発酵させてエネルギーや肥料を生む技術について考えたサミット(南丹市八木町・氷室の郷)

 家畜の排せつ物を発酵させ電気や液肥をつくる「バイオガスプラント」の在り方を考える「バイオガスサミット」が、京都府南丹市八木町の氷室の郷(さと)で開かれた。行政関係者や研究者らが登壇し、市八木バイオエコロジーセンター(同町)の老朽化など、プラントの現状と抱える問題を挙げながら、脱炭素社会の実現に加えて「経済成長やまちづくりに重要な施設」と期待を示した。

 日本初のプラントとして25年前から稼働する同センターの課題を議論しようと、同市が21日に主催した。

 農林水産省の末松広行元事務次官は、プラントは環境に優しい発電や液肥の生産に加えて「酪農家が悩むふん尿処理の手間が大きく減る」と強調した。一方で、同センターのこれまでの実績に触れつつ「今後は実験ではなく経営していけるようにすべき」と指摘。脱炭素への関心が高まる中、再生可能エネルギーの電気や有機栽培に使える液肥は人気が見込めると訴えた。

 同センターを管理する八木町農業公社の中川悦光事務局長は製造した液肥の3割しか利用がないと説明。散布の手間を減らし利用増を図るため、3倍に濃縮する実験を進めており、「周辺市町を含めた循環型社会づくりに貢献したい」とした。

 梅津一孝・帯広畜産大名誉教授は、乳牛の排せつ物をプラントで発酵させてから液肥としてまくと「化学肥料のように即効性のあるアンモニア性窒素が2倍になる」という実験結果を示した。

 農家や行政関係者など約150人が市内や全国から集まり、熱心に耳を傾けた。

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