「遺児の夢 支えて」 あしなが育英会の奨学生ら 明日から2日間 長崎で募金呼びかけ

昨年10月、長崎市内で呼びかけた街頭募金活動(あしなが学生募金事務局提供)

 病気や災害などで親を亡くした子どもを支援する「あしなが育英会」の大学奨学生らが今週末、長崎市内で募金活動に取り組む。北九州市立大外国語学部2年の吉岡太陽さん(19)=諫早市出身=は3年前に父を亡くし、奨学金で大学進学への道が開けた。「金銭の問題で夢を諦めてほしくない」。そんな思いを抱き、街頭に立つ。
 高校2年の冬、大工だった父が突然、亡くなった。仕事中に頭を打った翌日、自宅で体調が急変。救急車を呼んだが、息を引き取っていた。寡黙だが優しく、毎日、学校への送迎をしてくれた。一緒に潮干狩りへ行き、アサリなどを家で食べたことを思い出す。
 「これから厳しくなるね」-。父の葬儀の後、母が口にした言葉は頭から離れない。介護士の母は、勤務先の高齢者施設で夜勤の回数を増やした。子どもに不自由をさせたくないという一心で頑張っていた。
 そんな時、高校の担任が紹介してくれたのが、あしなが育英会の奨学金。「母を少しでも楽にしてあげたい」。すがる思いで申し込んだ。大学進学を悩んでいたが、奨学金を受け始め、前に進むことができた。
 夢は海外でのボランティア活動。大学卒業後、国際協力機構(JICA)の海外協力隊員になり、貧困などで苦しんでいる国の人を支えたい。「夢を追い続けられるのも奨学金があったから」。現在、1人暮らしをしながら、国際情勢や紛争について学ぶ毎日。遺児たちの力になりたくて、大学1年の冬、あしなが学生募金事務局に入った。
 長崎市での街頭活動は28、29両日の正午~午後6時、同市茂里町のみらい長崎ココウォーク前で。事務局メンバーら約15人とともに吉岡さんは訴える。「さまざまな境遇にいる遺児の夢を支えてほしい」

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