「区政を混乱させてはならない」江東区・木村区長が辞職表明 公選法違反で強制捜査

公選法違反の疑いで強制捜査を受けている江東区の木村弥生区長が辞職を表明しました。就任からわずか半年、「区政をこれ以上、停滞させてはならない」と会見で謝罪しました。

木村区長:「区民のみなさまに政治や行政の不信を招いてしまって…申し訳ありませんでした」

今年4月の区長選で木村区長の陣営が、投票を呼びかける有料広告をYouTubeに出した問題。10月24日、東京地検特捜部から公職選挙法の疑いで、区長室や自宅、木村区長の実家などが家宅捜索を受けました。木村区長は25日、区議会の本会議を「捜査協力」のため欠席していました。区議会の欠席から一夜明け、26日に急遽会見を開いた木村区長は…

木村区長:「これからも捜査が続く中で、これから新年度予算などの編成などについて重要な業務があります。そのためこれ以上お騒がせし、また区政の混乱・停滞をさせてはならないと考え、この度区長の職を辞任することとなりました」

木村区長:「4月の選挙で私に投票してくれた7万5906人のみなさま、そして53万区民のみなさま、多大なるご迷惑をおかけいたしました。ご期待頂きながらこのような形で辞職することに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいであります。誠に申し訳ございません。本当に…切ないです」

一方、木村区長は、有料広告の違法性の認識や自身の関与については、「捜査に協力している段階」だとして、答えませんでした。

「開かれたクリーンな区政」を掲げ、江東区で初めての女性区長となった木村区長。わずか半年での辞職に、江東区民からは…

「脇が甘いなと思う。最初ニュース見たときに『いいの?』と思った」「女性にもっと活躍してほしいなと。女性のための制度が増えたらいいのになと思っていたので、残念ですね」「とても残念だわ。とうとうダメになっちゃうの?選挙の活動の時に何とかならなかったのか?それを止めるような人がいなかったのかしら」

また、江東区議会の山本議長は、突然の辞職に戸惑いつつ、やるべきことをやっていきたいと話しました。

山本議長:「戸惑ってます、というのはこれからという時なので。来年度予算をしっかりと作っていくという矢先で、こういったことが起きたことに対してはいまの段階でも、今後しっかり議会としてやるべきことやっていかないといけないと、改めてそういった思いでいっぱいです」

今週に入って事態が急転し、区政を混乱や停滞させてはいけないとして辞職を表明した木村区長。今後、行われる区長選についてお伝えします。

江東区の選挙管理委員会によりますと公職選挙法に基づき、今回の場合12月中旬ごろまでには区長選挙が行なわれるということです。

そして費用について、江東区では区長選挙単独での選挙はこれまで行なったことがなく、費用がどれほどかかるのかわからないということです。参考までに木村区長が当選した今年4月の選挙は区長選と区議選を同時に行い、約2億2千万円の費用がかかっていて、いずれにせよ多くの税金が使われることは間違いありません。

そしてさらなる課題もあります。区長選挙が予想される12月はイベントが多い時期ということもあり、区の選管担当者は、投票所など「会場確保が難しいのでは」と厳しい心情をあらわにしています。そして区政を進める肝でもある来年度予算、こちら準備を進めようとしていたなか今回の”辞職騒動”となり、来年度の予算については新区長が決定してから詰めの作業に入るということです。新たな区長の方針が現木村区長と異なるとなれば、区政に混乱を与えてしまう恐れもあります。

区議会第一会派・自民党・川北幹事長は、予算編成について粛々と進めなければいけないとした上で、「木村区長の目玉政策はいくつかあるが、予算については見直すべき。そして新区長のもとで方向性を定めるべき」だと話しています。

「クリーンで開かれた区政」を掲げた木村区長の強制捜査を受けての辞職表明。行政に対する信頼回復が求められます。

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