躍動する馬投影、東京・「馬×アート展」で最高賞 関さん(山形)作のパステル画

大賞に選ばれた作品「光」

 山形市の乗馬クラブ「山形馬事センター」を夫婦で経営する関郁美さん(38)が描いた馬のパステル画が、東京競馬場90周年記念の「みんなで彩る 馬×アート展」で最高賞の大賞に輝いた。隆起した筋肉などが写実的に表現され、高い評価を受けた。関さんは馬術競技の元国体選手で、馬の特徴を捉えた作風に生産牧場からの依頼も舞い込む。「日本中央競馬会(JRA)の顕彰馬を描きたい」との夢を語る。

 アート展の公募には、全国から100点以上が寄せられた。関さんの受賞作「光」(縦30センチ、横40センチ)は、首を曲げて踏ん張り、走り出す瞬間を描いた。一本一本の毛を描き込み、馬体の艶やかさも画面に投影した。選考では「生きているようだ」と評価された。

 「繊細な体でダイナミックに動き、臆病なのに勇敢という相反する魅力を表現した」と関さん。アート展の会期は29日までで、東京都府中市の東京競馬場で展示されている。

 関さんは根っからの馬好きだ。父親が北海道出身で、幼少期から帰省の際に近くの馬産地を訪れ、種牡馬を見ていた。その時に撮影した写真や競馬雑誌などを参考に、独学で絵を描くようにもなった。馬術競技を始めたのは北海道の大学に進学してから。東北総体で2度優勝し、国体には6度出場した。

 2児の母となった現在は競技から遠のいたが、馬の世話や乗馬の指導に力を入れる。絵は子どもが寝た夜に創作する。「馬に乗っているからこそ描ける絵」とは周囲の評で、競馬のG1の優勝記念などと、肖像画を頼まれる機会も増えた。

 JRAの殿堂入りした顕彰馬を描く、との目標に向け、油絵を習おうと考えている。関さんは「馬主らのいろんな思いが込められた馬を描きたい。個展も開きたい」と笑顔を見せた。

馬の世話をしながら創作活動に取り組む関郁美さん=山形市・山形馬事センター

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