新規就農から5年でトップクラスのピーマン農家へ。「最新技術」「最大規模」一番へのこだわりと無理をしない働き方がモットーのポジティブ農家『新田浩さん』【福島県田村市で暮らす人々】

田村市大越町

新田ファーム 代表 新田 浩さん


農家じゃお金は稼げない…
農家の仕事は休みがない…

そんな農業に対するネガティブマインドを吹き飛ばすような人が田村市にいる。

新規就農からわずか2年で経営を軌道に乗せ、6年が経った今ではピーマンの県内収穫量がトップクラスにまでなった新田ファームの新田浩さん。

「趣味は農業!」毎日が楽しくて仕方がないという新田さんの「1番」へのこだわりと、農業への想いに迫る。

55歳で早期退職して農業の道へ。周りは反対するなか、夫婦で新規就農

福島県田村市で生まれ育った新田さん。結婚をきっかけに兼業農家であった妻、真由美さんの実家(田村市大越町)で暮らし始めた。仕事は社会福祉協議会で長年働いており、市役所勤務の真由美さんとともに安定した生活。

子どもたちが独り立ちして余裕ができた頃、近所の人からこんな話が舞い込んだ。

「今度田村市に生ホップを使ったクラフトビール工房ができる。一緒にホップ栽培をしてみないか」

折しも、真由美さんと

「そろそろゆっくり暮らしたいね。早期退職して旅行にでも行こうか」

と話していた時だった。

家族や親せき、知り合いはみんな大反対。安定した職を離れ、新規就農という不安定な道を選ぼうとする新田さんの選択を応援してくれる人は少なかった。でも、真由美さんだけは一緒にやると言ってくれた。

農家となった今でも、新田さんが「新しい機材を入れたい」「新しい取り組みを始めたい」と話すと、絶対に反対しないという真由美さん。もちろん真由美さんが何かをやりたいと言った時に、新田さんが反対することもない。

新田ファームは夫婦二人三脚で作り上げてきた、大切な夫婦の農場だ。

「1番」へのこだわりから揃えた最新設備と最大規模の畑

そうして新田さんは55歳の時に早期退職し、農業の道へと進んだ。栽培するのはピーマン、米、ホップ。農業を始めるにあたって新田さんには1つの信念があった。

「やるからには、1番がいい」

インタビュー中何度も繰り返されたその言葉通り、ピーマンの栽培面積はこの地域ではNo.1の約55アール(5,500㎡)。トラクターに憧れがあったから始めたという水稲栽培では、最新の設備に加え、最大級の農作業車を用意した。

県内初となるホップ栽培では、始める前に関係者とともに各地を視察し、どのような栽培設備が一番適しているのか、検討を重ねた。その結果出来上がったのは、日本で唯一の巻き取り式のホップ設備。

この設備により、手摘みが売りのクラフトビールに最適なホップの生産が可能になった。

「1番」へのこだわりと挑戦の成果。わずか5年にして県内トップクラスのピーマン農家に

心配なのは設備を整えるのに必要な費用だ。最新の設備や作業車を用意するには、数百万、数千万単位でお金がかかることも少なくない。だからこそ諦めてしまう人が多い中、あえて新田さんは挑戦した。

「事前に計画を立てて、一時的に赤字でもその設備を入れることでどの程度収益が上がり、何年後には採算が取れるかということを計算しました。例えば今うちで栽培しているピーマンの畑は、水も肥料もすべて自動です。その分人手がいらず、自分たちの休みをしっかり確保しつつも、畑をもっと増やすことも可能になりました」

高額であるビニールハウスを避けて露地栽培を選ぶピーマン農家が多い中、新田さんは現在ある8棟に加え、さらに3棟のビニールハウスの建設を予定している。

「ビニールハウスの強みは、露地の1.5倍の収穫量があるところ。しかも温度や水の量などを管理しやすいから、商品の値段が高い時期に合わせて出荷できる。そうしたことを考えると、初期費用はかかっても、ビニールハウスへの投資は無駄ではないですよね」

そうして就農2年目には経営を軌道に乗せ、5年が経つ頃には、新田さんはピーマンの収穫量優秀者として表彰されるほど、県でもトップクラスのピーマン農家となった。

米作りに関しても、標高640mで作られる新田ファームの米はその品質の良さが認められ、今年から田村市のふるさと納税返礼品として提供されることが決まった。

「米には自信あります。うちの米、おいしいですよ!」

今後は田んぼをもっと増やしたいといい、その目指すところはやっぱり「地域で1番!」

心と体が資本。残業なし、日曜休み、冬には長期休みで旅行にも

「うちでは常時4人、収穫のピーク時には9人の従業員を雇っています。農業を始めるなら、1人でも従業員はいたほうがいい」

そう話す新田さん。その理由を伺うと、従業員がいることで新田さんご夫婦自身も、しっかり休憩を取り、残業などは極力しないよう計画的に作業をするようになるそうだ。

「農業の世界はきつい、汚い、危険なんて言われることもあるけど、それはやり方と意識次第。休みも無く残業ばかりの辛い農作業だったら、やっていて楽しくないですよね」

新田ファームの勤務時間は8:30~17:00までで、そのうち休憩は2時間半。新田さんご夫婦も17:00に作業が終了したら、17:30には家にいるそうだ。

そしてホップ、稲、ピーマンすべての収穫が終わる11月から春先までは、農作業は休みとなる。

この冬休みの間には、新田さんは気分転換にアルバイトに出かけ、妻の真由美さんは会計などの事務仕事を終わらせる。早期退職する前に話し合っていた「のんびり旅行」もこの時期に行くことが多いという。

「11月に近づくと段々と収穫疲れを感じることもありますけど、冬休みが終わって3月になると『早くまた植えたいな~』って思うんだよね!」

そう話す新田さんからは、農業が楽しくて仕方がないという様子がひしひしと伝わってくる。

新規就農者の強い味方。ピーマンの一大産地化を目指す団体の組合長に就任

新田さんは今年の4月、田村地域をピーマンの一大産地化にしようとするプロジェクト(ふくしま園芸ギガ団地構想)を推進する団体の初代組合長に就任した。

「7人の会員の内、5人が新規就農者。自分がこれまで取り入れてきた先進的な設備や経験を、これからはどんどん若い人たちに伝えていきたい」

と、後継者育成への意欲を見せる。

そんな新田さんに、新規就農者が大切にした方がいいものを聞いてみた。

1.『農業の基礎を身に着けること』
2.『“楽しい”を大切にすること』
3.『地域に馴染もうとすること』

「自分にとって農業は楽しくて仕方がないものなんですよね。毎日ビニールハウスを開けたら『おはよう』って作物に声をかけるくらい(笑)。でもそんな農作業も、1人だとやっぱり大変だと思う。周囲の人と良い関係を作って、頼れるところは頼る。新規就農者でも地域と良い関係ができていれば、色んな人が手助けしてくれると思いますよ。自分も、できる限り若い人たちの力になりたいと思っています」

新規就農者にとって、とても心強い存在の新田浩さんだ。

新田ファームの米を食べてみたいという方は…こちらから↓
https://www.furusato-tax.jp/feature/detail/07211/13645

新田ファーム

住所: 大越町早稲川字鬼五郎34-2
電話: 0247-79-2890


この記事を読んで田村市での生活に興味を持った方、移住を検討している方は、お気軽にたむら移住相談室へご相談ください。

たむら移住相談室

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