中国の迷惑電話、大使館に百万件 福島原発処理水の海洋放出後

北京の日本大使館前を警戒する治安当局者ら=8月(共同)

 【北京共同】東京電力福島第1原発処理水の海洋放出開始から約2カ月で、中国国内から北京の日本大使館に着信した迷惑電話が累計で約100万件となったことが27日分かった。日本政府は通常業務に支障が出るとして中国政府に有効な対応を取るよう要求しているが、改善されていない。日本政府関係者が明らかにした。

 日本大使館は迷惑電話の件数を受信記録などから調べており、海洋放出開始の翌日の8月25日に1日4万件を超えた。8月末ごろから減少傾向となったものの、現在も1日1万~1万5千件程度の高い頻度が続いている。

 大半が日本への激しい罵倒や無言電話で、中には「爆破する」といった明らかな脅迫もあるという。大使館側は悪質な場合は電話番号を記録し、公安当局に連絡している。垂秀夫駐中国大使は今月20日、北京で開かれた日中関係のフォーラムで迷惑電話に触れた上で、日中関係を前に進めるため「理性を取り戻す」必要があると指摘した。

 中国の国内法では頻繁な迷惑電話により他者の生活に干渉した場合、法的責任を負うと規定されている。

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