初走行に「これはヤバい」/山本尚貴のアドバイス/エンジン交換続報etc.【SF最終戦金曜Topics】

 鈴鹿サーキットで始まった2023全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦・第9戦『第22回JAF鈴鹿グランプリ』。2レース制のフォーマットのため、90分のフリー走行が金曜日に実施され、各車ともに週末の2連戦に向けて準備を進めていた。

 今回は、大会開幕前からさまざまなトピックがあった鈴鹿2連戦。金曜日の走行を終えて、各ドライバーの状況を、かいつまんでまとめてみた。

■もてぎのクラッシュで関口雄飛もエンジン交換

 8月の第7戦もてぎ大会で、スタート直後の多重クラッシュに巻き込まれた関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。ドライバーは無事だったが、マシンが横転した状態で停車し、そのダメージの度合いが気になるところだった。

 金曜の走行前にTEAM IMPULの高橋紳一郎工場長に確認をとったところ、エンジン交換を行ったとのこと。これについては公式通知No.14でも明らかにされており、2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第2 4条2.4)に記載されている「不可抗力による交換」のため、ペナルティの対象にはならない見込みだ。

 幸いにもモノコックやヘイローは無事だったとのこと。「しっかり検査しましたが、問題ありませんでした。横転した時に、ちょうど芝生の上を滑るような形だったので、それが大きかったのかもしれません」と高橋工場長。

 金曜フリー走行で関口は17周を走破し、13番手につけた。

■松下信治「クルマが変わったことに対する反応が大きかった」

 昨日既報のとおり、同じくもてぎでの多重クラッシュの影響でモノコックとエンジンを交換して今大会に臨んでいる松下信治(B-Max Racing Team)は、特にトラブルに見舞われることなくセッションを終え、12番手につけた。

「モノコックだけではなく、足回りやエンジンも変わったのですが、それに対しての反応がけっこうありました。今日は12番手で、いつもと順位は変わらないんですけど、明日が楽しみですね」と、感覚が変わったことをプラスに持っていければと期待を持っていた。

 今シーズンは予選Q2に進むレースもあったが、7戦を終えてノーポイントの状態にある。この鈴鹿2連戦で好結果を残して、シーズンを締めくくりたいところ。「最後2レースでバシッと決められるように、なんとか頑張ります」と意気込んでいた。

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 松下信治(B-Max Racing Team)

■SF初走行の大草りき「これはヤバい。速いな」

 大湯都史樹の欠場に伴い、急きょスーパーフォーミュラデビューが決まった大草りき(TGM GrandPrix)。緊張の国内トップフォーミュラ初走行に臨んだ。

 最初のピットアウトでは、かなりスピードを抑えて出ていった印象で、ピットレーンで後ろの車両が詰まっているような感じではあったが、最後までコースオフもなく、26周を走破。1分40秒016で17番手につけた。

「最初のアウトラップで『これはヤバい、速いな』と思いました」と大草。

「こっちはけっこう頑張って走っているつもりなのに、後ろの人たちは簡単に追いついてきて、抜いていっちゃいます。『これは頑張らないとまずいな』となりましたね(苦笑)」と、スーパーフォーミュラのパフォーマンスに圧倒されている様子だった。

 それでも冷静にコツをつかんでいき「周回を重ねていくごとによくなっていきましたけど、タイヤの使い方などはまだまだな部分もあります。最後に自分の感覚とタイヤのグリップが合ってきたので、そこは良かったのかなと思います」と、ポジティブなイメージで初日を終えられた様子だった。

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 大草りき(TGM Grand Prix)

■「山本選手がオープンに教えてくれた」と大津弘樹

 スーパーGT第6戦SUGOでのアクシデントで負傷し、現在は治療に専念している山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)。その代役として、今回は大津弘樹が64号車をドライブする。

 大津はセッション序盤から順調に周回を重ねていくと、終盤には新品タイヤを履いて1分39秒418をマーク。チームメイトの佐藤蓮を上回り、8番手で最初のセッションを終えた。

「最初は全体のラップタイムが遅くて、自分の比較対象が分からないなかで走り出しましたけど、まずは今のコンディションに合うための調整を繰り返してやっていくなかで、最適値はある程度見つけられたのかなと思います」とセッションを振り返る。インターバルの間に山本と連絡をとり、さまざまなアドバイスも受けたという。

「ちょくちょく連絡は取らせてもらっていて、64号車の特性をかなりオープンに教えてもらいました。良くなる部分と悪くなる部分を細かく話してくれました。それも、かなり参考にさせてもらいながら、今のコンディションと自分のドライビングに合わせるアイテムとして活かせたかなと思います」

「山本選手は、いつもお世話になっている大先輩です。(64号車で走ることに対して)責任感もあるし、最後まで走り切らなきゃいけないという想いはありますが、自分のできることは限られていると思うので、その中での最大限を出せるように頑張りたいなと思います」と語った。

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 大津弘樹(TCS NAKAJIMA RACING)
スーパーフォーミュラ第8・9戦鈴鹿 金曜フリー走行の様子

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