茨城県 過疎地の就業体験促進 関係人口創出へ

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は過疎地域に拠点を置く中小企業による長期インターンの受け入れ支援に乗り出す。都市部の大学生を1カ月間の就業体験として企業に呼び込み、商品開発や新たな事業に取り組む。学生の滞在中に地域交流も進め、将来的な移住や関係人口の創出につなげたい考えだ。

県が始めるのは「過疎地域インターン促進事業」。県内の中小企業が首都圏など都市部の大学生を長期インターンとして受け入れ、商品開発や新たな事業の創出など、地域の課題解決につながる事業に取り組む。受け入れは、春休み期間中の来年2月中旬から約1カ月間を見込む。

参加企業は11月16日まで受け付ける。対象は「過疎地域」として指定されている11市町に拠点を置く中小企業や個人事業主、団体など。対象となる地域は、常陸太田市▽潮来市▽常陸大宮市▽稲敷市▽かすみがうら市▽桜川市▽行方市▽城里町▽大子町▽河内町▽利根町。

企業側にとって、学生の斬新なアイデアや新たな視点を事業創出に生かせる利点がある。地方創生などの分野に興味を持つ学生は多く、地域の中小企業での実践的な就業体験には「一定のニーズがある」(県担当者)とみている。

募集は最大で15社。1社当たり2人程度の学生受け入れを想定する。企業は人手不足の補充ではなく、新規事業を一緒に進めることが条件。学生は受け入れ企業の拠点がある地域に滞在し、地域で開催される交流会への参加などを通し、関係性も深める。

参加企業の選定後は、インターンなどのノウハウを持つ地域コーディネーターが、企業の事業計画設計などを支援する。県が12月中に学生を募り、両者間のマッチングを行う。来年2月に企業へ配置する計画。

急激な人口減少や高齢化を背景に、過疎地域では人材確保が課題となっている。都市部の学生を実践的な長期インターンとして呼び込むことで、企業の新事業などを後押しし、学生には地域への関心を高めてもらう。

県計画推進課は「茨城と関わりのなかった学生に対しても、地域を知るきっかけを提供したい」と話し、将来的に茨城県への移住や地域との交流継続につなげたい考えだ。

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