文晁と北斎の代表作を一堂に 栃木県立美術館

 江戸時代の中期から後期にかけて、江戸絵画界で人気だった2人の「スター絵師」の作品を紹介する企画展が、宇都宮市にある県立美術館で開かれています。

 県立美術館で開かれているのは、企画展「文晁と北斎ーこのふたり、ただものにあらず」です。

 企画展では、18世紀末から19世紀前半、江戸時代中期から後期にかけての、江戸絵画界の2大ブランドともいえる「江戸南画の総帥」谷文晁と、「奇才の浮世絵師」葛飾北斎の、初公開を含む作品およそ130点を展示しています。

 北斎のコーナーでは、「富嶽三十六景」の全四十六図を、前期と後期に分けて展示します。前期では代表作「神奈川沖浪裏」などが展示されていますが、県立美術館によりますと全四十六図が展示されるのは貴重な機会だということです。

 肉筆画としては、後ろ向きの立ち姿で鏡に映った顔を描いた「合鏡美人図」や、怪奇な主題を扱った「生首の図」、紙の上下をさかさまにして描いた「逆筆布袋図」など、奇才・北斎らしい作品も展示されています。

 文晁のコーナーでは、旅する絵師、文晁が描いた初公開となる「富士山図」や「河口湖富士真景図」など、富士山の作品を集めていて、これだけの作品が並ぶのは、こちらも貴重だといいます。

 他にも幟として使われていたらしい、木綿地に墨で描かれた「鍾馗図」や、釈迦の死を嘆いている「佛涅槃図」など、多くの作品が展示されています。

 会場には多くの美術ファンが訪れていて、北斎と文晁の人気の高さがうかがえます。

 この企画展は12月24日まで宇都宮市にある県立美術館で開かれています。

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