「犯人」は犬の尿? 電柱2本の根元に腐食して裂けた穴 1年以上「修理手配中」に住民ら不安 神戸・北野

傾いているように見える電柱。周囲には「伝統的建造物」に指定された民家などが並ぶ=10日午前、神戸市中央区北野町4

 異人館が立ち並ぶ神戸市中央区・北野の住民から「根元が腐食した電柱2本が放置されている」との情報が神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた。市の担当部署に連絡し、管理するNTT西日本にも伝わったと思っていたが、工事は行われないまま1年が過ぎたという。同社によるとすぐに倒壊する恐れはないものの、近隣住民からは「早く直して」との声が上がる。(井沢泰斗)

 問題の電柱は、「伝統的建造物群保存地区」に指定されている中央区北野町4の細い市道に立っていた。散歩中の犬の尿で腐食したのか、いずれも根元がさびて裂けたような穴が開き、傾いているようにも見える。周囲には貴重な建築物が並び、観光客も多い。

 同町内に住む情報提供者の男性(56)は、「倒壊すると危険だし、歴史的な建物にも傷が付く」と懸念する。仕事で道路工事に関わることがあり、同様の事例を目にしてきた。

 昨年10月、道路を管理する市中部建設事務所に連絡し、すぐに「NTTに伝えた」と折り返しがあった。数日で電柱に「修理手配中」のテープが張られたので安心していたが、工事は一向に始まらない。男性は「1年も放置することがあるのか」と首をかしげる。

 隣接する伝統的建造物の民家に住む50代女性も「前を通るときは倒れないか気に懸けながら歩く。早く直してほしい」と訴える。

 同社兵庫支店に経緯を尋ねた。担当者によると1年前、男性とは別の通報で状況を把握してすぐに調査し、応急処置として腐食防止剤を塗った。また「両側からケーブルで支えられているため、倒壊の恐れはない」と判断したという。

 一方で修理については市道が狭いため現在地での工事ができず、建て替え移転することになった。ただ場所の選定などに時間がかかっているという。同社の担当者は「住民との調整や(自治体など)道路管理者との協議が必要で、半年から数年かかることはある。なるべく早く手続きを進めたい」と理解を求めた。

 2021年には三重県で信号柱が倒れる事故があり、三重県警は「犬の尿で腐食が進んだ可能性が高い」との分析を明らかにしている。男性は「ほかにも危険な電柱はあると思う。今回のことが、安全対策の進むきっかけになればいい」と話した。

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 この記事は神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた情報を基に取材しました。

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