ドローンは空中だけじゃない ゲーム感覚で水中すいすい操縦 兵庫・淡路島に体験施設 上級者は“海底散歩”も

水中ドローンの講師を務める「mizubiyori」の渡辺剛さん=南あわじ市阿万塩屋町、淡路じゃのひれアウトドアリゾート

 海中で写真や動画を撮影したり、物をつかんだりできる小型無人潜水機「水中ドローン」の操縦体験施設が、兵庫県南あわじ市阿万塩屋町の「淡路じゃのひれアウトドアリゾート」にオープンした。初心者は海水プール内で基本操作を学び、上級者向けには福良湾の海底を観察できるコースを用意。海洋産業で活躍が期待される最新機器に触れ、日ごろ見ることができない海中の世界を観察できる。(津谷治英)

 コテージなどの宿泊施設やオートキャンプサイト、釣り場などがあり、休日を中心に家族連れらで賑わっている同リゾート。この秋、同市の「mizubiyori(みずびより) 水中ドローンスクール兵庫淡路校」が、新たに体験ブースを設けた。

 操縦できるのは、一般向けの小型サイズの水中ドローンで、全長約40センチ、重さ約4.5キログラム。小さめのリュックサックくらいの大きさで、前部に水中撮影ができる高性能カメラ、暗い海中を照らすライトを備えている。

 潜航できる最大深度は約100メートル、最高速度は3ノット。手元の操作器で前後左右の動きを調整したり、回転させたりでき、画面には海中の様子が映し出される。

### ■記者も体験

 来年、還暦を迎える記者も、海水プールで水中ドローンを操った。初めて体験したが、ラジコン操作と同じ要領で動かすことができ、想像していたよりも簡単で面白い。童心に返って熱中した。

 「mizubiyori」の講師・渡辺剛さん(49)は「ゲーム感覚で楽しめるでしょう。地元の小中学生には毎週通ってくる子もいますよ」。

 空中を飛行するドローンだと、「墜落したらどうしよう」と不安になるが、広い海ならば安心。慣れてくれば、福良湾内の撮影もできるという。

 ちなみに、堺市出身の渡辺さんは若いころ、オーストラリアでダイビングの講師をした経験があるそうだ。その後、淡路島の漁業者と知り合いになったのがきっかけで、島に移住。海中で自在に動かすことができる水中ドローンと出合って惹かれ、講師を務めるようになった。

 渡辺さんは「海の中には色んな魚が住んでいる。子どもたちが海を身近に感じてくれるのがうれしい」と笑顔で話していた。

### ■海中観察だけじゃない

 水中ドローンは近年、海洋関係者らの注目を集めている。水質調査のほか、海中に設置している器具などの点検に活用でき、安全面やコスト削減などのメリットがあるという。

 淡路島でも実際、海底ケーブルや定置網の点検で役立っている。自然と技術者の需要も増え、「mizubiyori」は操縦訓練や免許取得を希望する人らの教室も開いている。

 渡辺さんは「海中での作業はダイバーが担ってきたが、人が入れないような岩の間に入ったり、細かい作業を行ったりするには限界があった。水中ドローンは小型なので、人の手の届かない場所へも入って作業ができる」と太鼓判を押す。

 例えば、物をつかむアームを取り付ければ、海中に沈んだ物を引き揚げることができる。釣り竿を回収したり、最近では「スマートフォンを落としたので引き揚げてほしい」という依頼もあったとか。

 今後は、海難救助などでも活躍できるのではないかと考え、「多くの可能性を秘めている」と渡辺さん。「海を守る人らと連携したい」と熱く語り、まずは「水中ドローンを若い人たちに実際に触ってもらい、その魅力を知ってほしい」と呼びかけていた。

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 同リゾートでの水中ドローン体験は、初心者向けの体験(主に海中プール、30分で千円)、福良湾での職業体験・海底探索コース(60分5800円~)、免許取得コース(1日、8万8千円)など。mizubiyoriTEL0799.20.1551

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