犬が失禁してしまう4つの原因と解決方法 「そんな理由もあるのか」「叱るより優先すべきは原因解明」

犬が失禁してしまう原因と解決方法

犬の失禁は、不本意に起こります。わざとおしっこを漏らし、飼い主を困らせようとしているわけではありません。ですから、叱る必要は全くありません。

失禁によって部屋を汚してしまうことがあっても、怒ったりイライラした態度を見せたりしないよう、愛犬の心を傷つけてしまうことがないよう、配慮してあげましょう。

犬の失禁には、いくつかの原因が考えられます。原因別の解決方法も解説しますので、これって失禁なのかな?と心配される時にお役立てください。

1.興奮して括約筋が緩んだこと

犬が失禁してしまう原因として、興奮したことで括約筋が緩んだのではないか、ということが考えられます。

いわゆる「うれしょん」です。飼い主が帰宅した時、大好きな人が家に遊びにきた時など、あまりの嬉しさに大興奮し、括約筋が緩んだことでおしっこが出てしまうのです。

括約筋とは、膀胱の出口にある筋肉です。おしっこは、この出口を通って排泄されます。通常はしっかり閉じられており、おしっこをする時に括約筋が緩むことで排泄される仕組みです。

より詳しくお話すると、脳が尿意を感じた時、神経によって膀胱に伝達され、膀胱の出口にある括約筋が緩み、おしっこが排出されます。

解決方法ですが、うれしょんの原因が興奮なのであれば、愛犬が過剰に興奮せずにいられるための対策をしてあげられるとよいと思います。

お留守番の時間が長くなれば長くなるほど、寂しさや退屈さが募り、飼い主の帰宅があまりにも嬉しくて興奮してしまうことがあります。少しでもお留守番の時間を短くしてあげることで解決されるかもしれません。

部屋が汚れることが懸念されるのであれば、マナーベルトやおむつを着用することで対策してもよいと思います。

2.尿路に異常があること

犬が失禁してしまう原因として、尿路に異常があるのではないか、ということが考えられます。

先天的な異常としては異所性尿管などが挙げられます。異所性尿管とは、尿管が本来の位置に繋がっていない病気です。腎臓から膀胱へと尿を運ぶための管のことを言います。

年齢の若い犬で失禁がある場合に多く、解決方法は手術です。尿管を正しい位置に繋げることで、おしっこが漏れることはなくなります。

3.神経の異常があること

犬が失禁してしまう原因として、神経の異常があるのではないか、ということが考えられます。

膀胱を支配する神経は脳にあり、その神経は脊椎の中を通った後、膀胱の神経と繋がっています。

脳にある神経、脊椎にある神経、膀胱にある神経のうち、いずれかに異常が起きている場合、犬の失禁の原因になることがあります。

失禁が起こる犬に椎間板ヘルニアや関節炎がある場合、神経の異常によって失禁が起きているのではないか、ということが考えられます。

解決方法は、神経に異常をきたすような病気を発症していないかどうか、ということを知ることです。病気が治ることで、失禁も改善されるでしょう。

4.ホルモンの異常があること

避妊手術を受けた後のメス犬に稀に起こる失禁の原因として、ホルモンの異常があるのではないか、ということが考えられます。

避妊手術によって、エストロゲンというホルモンの分泌が低下します。そうすると、尿道に機能不全が起きてしまうことがあるのです。それが失禁の原因です。

ホルモンの異常による失禁の特徴は、犬が寝ている間におしっこが漏れてしまう、ということです。

解決方法ですが、内科的治療を受けることによって、改善される場合があります。かかりつけの獣医師、または泌尿器専門の獣医師に相談してみてください。

まとめ

犬が失禁してしまう原因と解決方法を4つ解説しました。

  • 興奮して括約筋が緩んだこと
  • 尿路に異常があること
  • 神経の異常があること
  • ホルモンの異常があること

愛犬が失禁してしまっても、絶対に叱らないであげてください。

稀ではありますが、失禁と排尿を勘違いしてしまうことがあります。トイレトレーニングが不十分で、トイレ以外の場所でおしっこしてしまったことを失禁と勘違いし、過剰に心配してしまうことです。

少しでも心配される場合や頻繁に失禁が起こる場合には、なるべく早く動物病院で診てもらうことをおすすめします。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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