「1型糖尿病の偏見なくしたい」 本間さん 自転車で日本一周挑む

1型糖尿病の偏見をなくそうと自転車の旅を続ける本間さん=10月4日、岡山市

 「1型糖尿病への偏見をなくしたい」。そんな思いで自転車で日本一周に挑戦している人がいる。昨年春に発症した新潟市の本間太希さん(26)。インスリンを注射しながら各地を巡り、SNSなどでつながった同じ病の人たちと交流する。今月上旬には岡山市を訪れた。

 1型糖尿病は自己免疫など何らかの原因でインスリン分泌機能を失う病気。血糖値をコントロールするため、1日数回、注射などでインスリンを補給する必要がある。生活習慣とは無関係にもかかわらず「自己責任」「医療費の無駄遣い」などの誤解で苦しむ人も多いという。

 本間さんは突然の発症後、血糖値をコントロールするため1日4回以上注射し、同じ食事を同じ時間に食べる生活が続いた。血糖値はいくら頑張っても安定せず、箸を持つ手が震えたり、人と話すと涙があふれたり。先の見えない絶望感に襲われ、うつ状態になり、糖尿病への偏見にも直面した。

 そんなとき、自身の体調や気持ちを発信していたSNSに、投稿に励まされたという声が届くように。「このまま引きこもっていてはだめだ。何か体現すれば偏見もなくなるかもしれない」とあえて1番“きつそうな”自転車での日本一周を決断。6月に地元の新潟を出発し、札幌、東京、大阪、熊本などをこれまで訪問した。

 岡山市では11人の当事者や家族と食事会を開き、思いを共有した。同じ病の4歳の娘と参加した女性(33)=倉敷市=は「大変なことはあっても、できないことはないんだなと思った。娘も太希君に会えてとてもうれしそうだった」と喜んだ。

 自転車をこいでいる間も常に体内の血糖値が分かる装置を身につけ、食事の際にはインスリン注射が欠かせない。だが、旅を通じ「同じ病気というだけで昔から知っている友達みたいに関われる。病気になる前よりも、今の方が生きてるなって感じる」と本間さん。ゴールの新潟には11月に到着する予定で、旅の様子はYouTubeで発信している。

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