9~10月の台風、過去最少ペース 現在4個で平年の半分以下 フィリピンで「台風の卵」発達せず

 秋は台風シーズンだが、今年の発生は9月に2個、10月に2個で計4個と平年の半分以下にとどまっている。このまま今月中の発生がなければ、気象庁が1951年に統計を取り始めて以降、9~10月の2カ月間では過去最少となる。

 同庁のまとめによると、これまで9~10月の発生が最も少なかったのは2018年の計5個(9月4個、10月1個)だった。平年は9月に5.0個、10月に3.4個の計8.4個が発生。日本に影響をもたらす台風も多く、1年のうちで警戒が必要な時期となっている。

 しかし、今年は発生が少ないまま10月末を迎えた。特に、厳しい残暑に見舞われた9月の少なさが際立つ。同庁は、太平洋高気圧が日本の南西にまで広く張り出し、通常なら台風が発生しやすいフィリピン付近の気圧が平年より高くなり、抑えられたと分析する。

 日本気象協会関西支社の北井菊恵気象予報士も「9月は暑さをもたらした太平洋高気圧の勢力の強さが影響した」と指摘。フィリピン付近で「台風の卵」はいくつか見られたが、発達しなかったという。

 今年は南米沖の海面水温が高くなり、世界各地に異常気象をもたらす「エルニーニョ現象」が約4年ぶりに発生した。ただ同庁は「現象と台風の少なさとの関連は分からない」とする。

 11月は平年2.2個、12月は1.0個が発生しているが、例年通りなら日本に上陸する可能性は低い。

 今年に入ってからの発生数は10月27日時点で16個。年間の平年値25.1個と比べると少ない(過去最少は10年の年間14個)。8月15日には台風7号が兵庫県内を縦断しながら北上し、香美町の矢田川が氾濫するなど各地で被害が出た。(上田勇紀)

© 株式会社神戸新聞社