恋愛のスタイルを「肉食系」や「草食系」などと例えて表現することがありますが、最近は「絶食系」という言葉で表現される男性も多くなりました。
恋愛や結婚に全く興味を持たず、むしろ拒絶して生きている「絶食系男子」。あなたの周りにも存在するかもしれませんね。
彼らは、なぜ恋愛や結婚を拒絶するのでしょうか?
「素敵な女性と特別な関係になりたい」「誰かと強い絆で結ばれていたい」という欲求は、本当に一切ないのでしょうか?
コミュニケーションライターとして人間関係の悩みを解決に導く筆者が、リアル絶食系の男性にお話を聞いてみました。
リアル絶食系男子の恋愛事情
お話を聞かせてくれたのは、兵庫県姫路市在中・飲食店経営者の北村英昭さん。現在43歳、独身です。
北村さんは25年間飲食業に携わってきました。
飲食店経営以外にも様々なイベントも開催。5年以上毎日ブログで様々な情報を発信し続け、日々を生きやすくするオンラインサロン『シェルター』も運営しています。
北村さんは20代の頃から、結婚どころか、恋愛にも強い気持ちを抱いたことがなかったそうです。むしろ、特定の女性と恋愛関係になることをシャットアウトして生きています。
\--これまで愛する女性が存在したことや、特別な関係性になった女性はいなかったのでしょうか? また、恋愛を拒絶するその理由は何なのでしょう?
北村さん「若い頃から、特定の女性に対して魅力を感じることや、素敵だなと思うことはあっても、自分から積極的に行動したり、近づこうという努力をしたことがありません。
恋愛よりおもしろいと思えるものが常に身近にありました。
また、女性に対して、執着心や独占したいという欲求を持ったこともありません。
それでも縁があって何人かの女性とは真剣にお付き合いはしましたが、愛することで得られるメリットよりデメリットのほうが大きいと認識してからは、シャットアウトしました。
恋愛のもたらしてくれる刺激って強くて、エナジードリンク飲んだ時みたいにパワーを前借りできるといった面はありますが、『事故』もよく起こしますよね。嫉妬心で揉め事が起きたり、自分の勝手な行動で相手を傷つけてしまったりだとか。
どれだけドライな関係性を意識していても、ドライな付き合いができそうな女性に見えても、何かの拍子で制御不可能になって事故が起こる。しかもその時のダメージはすごく大きい。
コントロールするのがとても難しくて、それが自分にはとてもしんどいし、必要ないものだなと思ったので、そこにエネルギーを使わないと決めました」
\--女性から好意を寄せられることに対してはどう感じますか?
北村さん「僕の場合は『好き』=『応援』と捉えるので嬉しいですね。
ただ、人前でベタベタされたりするのは、空気がしんどいので嫌です。恋愛関係に限らずですが、特定の人と馴れ合いのような関係性を持つのはとても苦手です」
性欲はどうしているの?
--特定の相手と体の結びつきを得たい、肉体的につながり合いたいという欲求は、多少なりとも誰しもが持っているものでしょう。そういう性的な欲求については、どう対処しているのでしょうか?
北村さん「性欲はありますが、重要視してません。人間の三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)でいえば、睡眠欲が一番、性欲は常に一番下です。
あと、性的な関係を持つパートナーはいます。特定の女性で、付き合いは長いです。最後に会ったのは半年前です。
性的な関係だけで繋がっているわけではなく、ただ会って話をするだけの時もあります」
\--その女性から普通の恋人同士のような付き合い方や、結婚を求められることは今までなかったのでしょうか?
北村さん「ありません。そういう関係になる前に、はっきり自分の考えを強めに伝えているので」
\--その女性から別れを告げられたら? それだけ長い間つながっているのなら、別れの時は身が引き裂かれるような思いを抱くものなのではないでしょうか?
北村さん「仕方ないな、で受け入れます」
「結婚」や「子ども」についてはどう考える?
\--結婚については、どのように考えているのでしょうか?
北村さん「結婚は、僕にとって、『事業』『チームビルディング』『会社経営』というイメージです。しかも、難易度がめちゃくちゃ高い。
僕はそこにかける熱意は一切ないし、できる自信もないです。子どもも欲しいと思ったことはありません。世間体も気になりません」
絶食系男子は増えていると感じる?
\--長年飲食店に携わっていると、男女間のやり取りや駆け引きを目の当たりにすることも多いと思います。同じような絶食系の男性は増えていると感じますか?
北村さん「絶食系の男性が増えているというよりは、恋愛や結婚に興味がないということを言いやすくなってきたのでは? と思います。
今は、『多様性を大事にしよう』といった風潮が強く、恋愛の形も様々ですよね。
「結婚できない」のではなく「結婚しない」、独身を選んでいるという男女も増えていて、そういう生き方も受け入れられています。
あと、僕は、毎日ブログで情報発信を欠かさずやってて、SNSのヘビーユーザーでもあります。
それで感じるんですが、今ってネット上でいろんな欲求がある程度満たされてしまうんです。暇潰しもできるし、人と交流できてつながれるし、承認もしてもらえるし。
そうしたことも考えると、これから絶食系と言われる人たちが多くなってくるのは間違いないのかな、と思います」
\--男女間のやり取りや駆け引きに、25年間で違いなどはあるでしょうか?
北村さん「飲食店での食事というのは、多くの人にとっては非日常な空間で、特別な日であることが少なくないと思います。そういう空間、そういう日の立ち振る舞いは、カップルに関していえば、見ていて案外変わらないイメージです。
デートで来られているカップルの場合、男性がリードしてお会計を出すことが今も昔もやはり多いですよ。
逆に、会社関係の団体客などは、以前は女性が上司にお酌して回って……という場面を当たり前のように目にしましたが、今はほぼありません。全くなくなったというわけではないですが」
絶食系男子の攻略法はある?
絶食系の男性を好きになってしまった場合、特別な関係性に発展させるのは困難を極めるでしょう。不可能に近いといってもいいと思います。
絶食系の男性は誰のものにもなりませんが、自分のものになることもありません。
もし絶食系男子を好きになってしまった場合は、特別な関係になることは諦めて、“推し”のような感覚で応援するのが最良です。
ただ、絶食系の中には、「本当は絶食系じゃないけど、絶食系のフリをしている(絶食系に見える)」男性も存在します。
女性との良い出会いがなさすぎて恋愛も結婚も諦めてしまった人、自分に自信がないことを悟られないようにしている人、などです。
そういう男性の場合、興味がないフリをしていても、心の奥底では「恋愛したい」「結婚したい」という願望を密かに持っています。
意中の彼が本当に絶食系男子なのか? 絶食系男子のフリをしているだけなのか? を見分けるコツについて、北村さんは以下のように述べています。
「勇気のいることかもしれませんが、思い切って女性側から積極的にアプローチをかけてみるとか。絶食系のフリをしている男性の場合、女性側からの積極的なアプローチにとても弱く、簡単に陥落すると思います。
本物の絶食系であれば、『拒否(拒絶)される』『嫌がられる』『距離を置かれる』、などの反応が返ってくると思います」
*
今後ますます増えてくると思われる絶食系男子。
そのやや特殊な考えに寄り添って生きるには、こちらも少し相手に対する見方や考え方を変えてみる必要があります。
今回の北村さんとのお話を、絶食系の男性たちに対する理解やコミュニケーションに役立ててみましょう。
【取材協力】
北村 英昭(きたむら ひであき)
『キャンディ姫路&Kitchin11』店主。日々を生きやすくするオンラインサロン『シェルター』を運営。note『無能マンhide/なんもやる気ない人のやる気の片鱗』の記事は1200本以上。自身の活動や日々の気づき、時事問題などについて発信を毎日続けている。漫画、ゲーム、音楽が好き。
(mimot.(ミモット)/ 黄本 恵子)