「関西決戦」日本シリーズ開幕 両球団の応援合戦が最高潮に 「夢のよう」「負けたくない」

敵地ながらスタンドに詰めかけ、盛り上がる阪神ファン=28日夜、大阪市西区の京セラドーム大阪(撮影・金田祐二)

 プロ野球の阪神とオリックスが戦う日本シリーズが28日に開幕し、59年ぶりに実現した「関西決戦」。初戦の舞台の京セラドーム大阪(大阪市)は超満員となった。一投一打に沸き立ち、天井に突き上げるような激しい応援合戦は最高潮に。兵庫と大阪で隣り合う両球団のファンは、万感の思いで歴史的瞬間を見届けた。

 本拠地で迎えた前年覇者のオリックス。父親の影響で幼少期からファンという神戸市垂水区の高校3年、入江倫大朗さん(18)と弟で同1年の倖士朗さん(15)は「夢のような対決でわくわくしている」と試合前から興奮した様子。「流れに乗った方が一気に決めることもあり得るので、初戦は大事」と気合を込めた。

 前身の阪急時代を含めて50年近く応援する姫路市の会社員阪口信之さん(56)は「(阪神には)負けたくない気持ちが強い。何かと対比されるので、見返したい」と対抗心を燃やした。

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 18年ぶりの優勝で勢いに乗る阪神には、敵地にもかかわらず「六甲おろし」の大合唱が響いた。「生まれた時からファン。38年前の日本一の感動をもう一度」と話す生粋の虎党、自営業高垣勝安さん(72)=堺市=は孫2人と観戦。小学生の西村優葵さん(12)と颯人君(9)は「今季京セラドームでは全勝で、ホームみたいなもん」と強気で声援を送った。

 先発マウンドに立った南あわじ市出身の村上頌樹投手には、地元兵庫のファンからも熱視線が送られた。神戸市兵庫区の会社員新井達大さん(22)は「重圧がかかると思うけど、今季一番良かった投手なので自信を持って」と手に汗を握って見守った。和歌山市の主婦松井千津さん(52)と、娘で会社員の桃花さん(22)=大阪市=は「関西ダービーをできるだけ長く楽しみたいので、4勝3敗で阪神が日本一に」と願った。

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 本拠地がともに阪神沿線の「なんば線シリーズ」とあって、ユニホームが両球団に分かれる家族連れらの姿も目立った。

 約40年来の阪神ファン、会社員矢野雄二さん(46)=大阪府高石市=は、今季からオリックスを熱心に応援する娘で大学2年の芽生さん(19)と訪れた。雄二さんは「どっちも頑張ってほしいが、投手陣が盤石なオリックスに負けず、甲子園で阪神が胴上げしてほしい」と言い、芽生さんも「盛り上がってほしいし、絶対に勝ちたい。もう一度日本一になって」と譲らなかった。 (井川朋宏、小野坂海斗)

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