県都の繁華街「泉町」の活性化を目指す「夜の街探索スタンプラリー」(宇都宮まちづくり推進機構主催)が11月25日まで、泉町と本町の個性豊かな36店舗で開かれています。泉町のディープな夜の世界をのぞいてきました。
スタンプラリーには、市内ホテルや観光案内所などに掲示されているポスターのQRコードをスマホで読み込んで参加する。各店舗でデジタルスタンプをためると、抽選で宇都宮の地酒が当たる。
タイガース前面に
今年のスポーツ界のハイライトの一つは、“アレ”こと阪神タイガース18年ぶりのセ・リーグ制覇だろう。参加店舗の一つ「大虎やちこ」(泉町)は県内の阪神ファンが集う居酒屋だ。
店内にはユニホームやタオルなどが所狭しと並び、選手の応援歌や勝敗表も貼られている。店主の吉沢康弘(よしざわやすひろ)さん(51)は市内出身だが、3歳の時に阪神の帽子を買ってもらったことがきっかけで熱心な虎党になった。2020年12月、タイガースを前面に押し出した店を開店した。「県内にも店主が阪神ファンの店はあるけど、ここまで露骨なのはうちくらい」と笑う。
関東では希少な「タイガースワンカップ」(600円)が飲める。阪神以外の野球ファンも集う場になっている。吉沢さんは「軽く一杯でも、気軽に立ち寄って」と話していた。
ママは元経営者 女性客も楽しめる
市内では珍しい「オカマバー」を掲げる「Maki Room」(泉町)も参加店の一つ。近隣のサラリーマンや女性客らがセクシャリティに関係なく集い、楽しく盛り上がる場になっている。
“マキママ”こと古口光亮(こぐちみつあき)さん(63)は元会社経営者。60歳で会社を手放し、20年2月に店を開いた。「この辺で飲んでいたらいろんな人と親しくなって、それで店をやることになったの」と振り返る。派手なショーは行わず、客が盛り上がるのをトークでアシストする営業スタイルだ。「常連さんは気を使ってくれる人ばかり。気付いたらみんなで勝手に騒いでいるのよ」
料金システムはチャージ1500円から、ドリンク600円からと明朗だ。古口さんは「泉町は人情があって楽しい街。女の子一人でも安心して気軽に飲みに来て」と呼びかけた。
釜川沿いにひっそりとたたずむスナック「杏(あん)」(本町)は、靴を脱いで入店するスタイルが珍しい5席のみの店だ。ゆったりとした空間で、つい長居したくなる。
もともと近隣の店舗で働いていた市村恭子(いちむらきょうこ)ママが18年8月に開店した。常連客は50~70代が多く、落ち着いた雰囲気を大切にしている。「お酒が飲めないし、自信があった訳じゃない。でもお客さまにはプロっぽくない『引きの営業』が良いと言われます」と話していた。
■ ■
3店舗を巡ったが、どこも他にはない個性にあふれていた。この機会に「泉町」を巡ってみては。