茨城・土浦市 部活、任意団体が指導 地域移行 4競技 休日練習

土浦市で部活動の地域移行が始まり、合同でバレーボールを練習する2校の女子生徒たち=同市中貫の都和中体育館

公立中学校の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる「地域移行」で、茨城県土浦市は28日から、市立中学校の運動部4競技を対象に休日の「地域クラブ活動」を始めた。現行の部活動を担う教員や指導員が中心となって指導に当たる。市教委によると、市単位で任意団体を設立し複数の競技を担うのは県内で初めてという。

「向こうの方が声が出ているよ。声を出していこう」。28日、同市中貫の都和中で開かれたバレーボール女子のクラブ活動には、二つの中学校から約20人が集まった。生徒らはボールを追いかけ、レシーブやアタック、試合形式の練習に励み、コーチのアドバイスを受けながら汗を流した。

指導の中心となったのは同中の元教員で部活動指導員の佐藤昭雄さん(66)。ボールを繰り出し「楽しくやるには積み重ねが必要。自分で考えられる選手になって」と呼びかける。

新治学園義務教育学校から参加した8年生(中2)の秋葉紀乃さん(14)は「自分たちが知らない練習や声出しを体験でき、刺激になる」と収穫を話した。

都和中OGで外部コーチの大学3年、小沼結奈さん(20)は「人数が多いので練習を回しやすく効率的」と初回の活動を評価。「最初はうまくいかなくても、とにかくバレーを好きになってほしい」と望む。

市教委によると、地域移行の運営組織として市が主導して任意団体「市地域クラブ活動推進協会」(久松明代表理事)を設立。地域クラブを「ブルーオーシャン」と名付け、野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールの4競技で休日活動を開始した。23日時点でクラブ員は中学1~2年生462人、指導員は83人が登録している。

市内には義務教育学校(小中一貫校)を含め市立中が8校ある。少子化やクラブチームが増えた影響で団体競技を中心に単独校チームの結成は難しくなっており、野球は8校で4チームを組んでいるのが現状。このため、地域移行は特に部員数減少が顕著な4競技から始めることとした。

文部科学省の実証事業の補助を受け、本年度の実施費用は市が負担した。保護者アンケートの結果、地域移行への関心は経済的負担増よりも「平日と休日の指導の連動性」だったこともあり、一貫した指導を考慮して部活動の指導者が中心となり休日も指導を担う。

市は今後、3年間の試行期間を経て2026年度から、文化部を含めた全ての休日活動を地域クラブに移行する方針を打ち出している。同市教委指導課の岩田幸一課長補佐(53)は「部活動と民間クラブの間を埋めるような存在になれば。受益者負担の軽減へ地元企業などとも連携したい。教員の働き方改革にもつなげていく」と見通しを語った。

© 株式会社茨城新聞社