【レッスン後】馬房への帰し方

皆さんは乗馬のレッスン後、騎乗した馬のお手入れが終わったら、馬を馬房へ戻していることと思います。
騎乗後はついつい安心して気が緩みがちなので、思いがけない事故やトラブルに見舞われることがあります。馬を馬房に戻すまでが乗馬のレッスンです。
そこで今回は馬を馬房へ帰す時の手順やポイントなどをご紹介します。

馬房とは

馬を飼育する場所を「厩舎」といいます。馬小屋という言い方の方が馴染みがあるかもしれませんね。

1棟の厩舎の中には、馬が暮らす「馬房」がいくつも並んでいます。厩舎とは馬の集合住宅のようなもので、馬房は個々の馬のマイホームといったところでしょうか。馬房一部屋につき、馬一頭が生活しています。

1日のほとんどの時間を過ごす馬房は、馬にとって一番落ち着く場所です。レッスンや乗り運動がない時間、飼い葉を食べたり眠る場所が馬房ですから、馬にとってはとても大事な空間なのです。

参考までに馬房の広さについてですが、公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会が「優良乗馬施設」の認定をする際の基準の中に、

「単馬房の面積(概ね幅2.5m、奥行3m以上)が確保されていること」

というものがあります。

サラブレッドの顔から尾までの平均の長さは約2.6mなので、幅もしくは奥行きの長さが2.6m以上あれば横になって寝ることができます。馬にとっては十分な広さとなりますね。

馬房の高さは2~3m、入口は引き戸かスライド式もしくは馬せん棒でふさぎます。
壁は木製か金属製で、上半分は格子状になっていて風通しを良くしています。床はコンクリート製で、その上に木のおがくずか藁が敷かれています。床の上にゴム板を敷いてからおがくずや藁を敷くこともあります。

帰し方の手順

それでは馬房に帰す手順について説明します。

まず馬房に入る際は、馬と一緒に入ります
馬房の中に入ったら、左回りで馬の顔を入り口に向けてから曳き手を離します。この時に馬を愛撫して、頑張ってくれたことを労ってあげて下さい。人参などのおやつを与えるのも良いでしょう。

馬房の外に出たら、馬房の入り口のチェーンや馬柵棒(ませんぼう)、扉などを閉めます。

やりがちな危険行為

次は馬を馬房に戻す時の注意点について説明します。

戻す際に馬を先に歩かせてはいけません。馬房の入り口に差し掛かかったときに、急いで戻ろうとする癖がついてしまい、馬に引っ張られてけがをする危険があります。また、何かのはずみで馬の後肢で蹴られる可能性もあります。人が馬よりも後ろを歩くことはとても危険なので、絶対に止めましょう。

馬の頭が馬房の入口に入った瞬間に、曳き手を外して馬房に戻してしまうのも、勢い余って馬体が馬房の壁にぶつかってしまう危険があるので気をつけましょう。

最初は怖いかもしれませんが、馬房内へは一緒に入り、馬の頭が馬房の入り口を向くようにしてから曳き手を放しましょう。

慣れるまでは、馬房の中にある飼い葉桶に人参などのおやつを入れるのもひとつの方法です。飼い葉桶に入っているおやつに気が向くので、暴れたり噛まれるかも…という心配はありません。馬もご褒美がもらえるので、素直に馬房へ入ってくれますよ。

馬を戻す際に、馬房内で足を踏まれるケースも非常に多いです。馬は蹄に蹄鉄をつけているので、体重が500㎏前後の馬に足を踏まれると、最悪の場合骨折する可能性もあります。曳き手だけでなく、馬の足元にも十分気を付けて下さい。

さらに、馬房の中では大きな音を出さないように注意しましょう。馬は臆病な生き物なので、音にびっくりしてパニックになってしまうことがあります。これは馬も人も怪我をする可能性が高く、とても危険です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は馬の馬房への帰し方についてまとめました。
馬房は馬にとってリラックスできる大事なプライベート空間です。テリトリーの中でのストレスは禁物です。出来るだけストレスを与えない様に馬房へ帰すように気を付けたいものです。

馬の中には、人に懐いている馬もいれば人嫌いな馬もおり、性格も様々です。馬房へ帰す際には、安心感を与えられるよう、優しく声をかけましょう。また、おやつを使うのもひとつの方法です。ただし、食事制限のある馬もいるので、必ずスタッフの許可をもらってから与えて下さいね。

最初は馬房へ帰すのが怖いと感じるかもしれませんが、手順を確認しておこなえば馬も指示に従ってくれますよ。

馬が安心して行動できるよう、もう一度手順を確認してみて下さいね。

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