電車・バス通勤76.8%が「苦痛」の現状も少し解消!? ワンコインでも快適「クルーザー通勤」という選択肢

ときには通勤手段をかえてみるのも、いいリフレッシュに(©観光汽船興業(株))

<都市型クルーザーに乗りスピーディーで快適安全なクルーズを。事前WEB予約で安心、乗り換えやラッシュ混雑もなくラクラク通勤>

東京都が水辺のにぎわい創出を目的に進める、舟運活用の取り組みとして10月25日からスタートした「東京舟旅」。日本橋ー豊洲間(約4キロ)をクルーザーで約20分で結ぶ、この舟運のサイトにはこんな魅力的な文言が躍る。

この区間の地下付近を走る鉄道で通勤すればラッシュが日常で、通勤だけで疲れ果てる。それが同ルートなら、心地よい海風を浴びながらコーヒー片手に優雅に、しかも500円で帰宅時間を満喫できるーー。

「当初は、運航会社の体制もあり、夕方便のみでのスタートとなります。週に一度でも、こうした普段とは異なる通勤手段でリフレッシュいただければと考えています。また、ショッピングなど日常生活でもご活用いただければ」と同プロジェクトを担当する東京都都市整備局交通局都市基盤部の岡本健一課長は説明した。

煌びやかな夜景を眺めながらのあっという間の20分

これまでは試験的位置づけだったが、今回から定期便となり、週3回(火・水・木)の運航で晴れて”都民の足”となる。需要が多ければ、朝の通勤時間帯の便も増設される可能性があるという。

実際に乗ってみたが、この時期のルート付近は空気が澄んでおり、立ち並ぶ高層マンション等の夜景が煌びやかで、見とれているうちに20分があっという間に過ぎていく。

ワンコインで東京湾ナイトクルーズは「あり」だ(弁護士JP)

この区間を通勤する人は限られるかもしれないが、コロナ以降、勤務形態も柔軟になっている会社も多く、可能ならたまには趣向を変え、気分転換に途中下車して乗車してみるのもいいかもしれない。

プラス株式会社ファニチャーカンパニー(東京都渋谷区)が電車、バスを主な通勤手段とする会社員・公務員500人に行った通勤時間のアンケート調査では、興味深い結果も。なんと76.8%が「苦痛」と回答している。選択肢があるのなら、たまには違った通勤手段を使ってみてもよさそうな結果だ。

地理的事情から、船舶による通勤に補助金を出している自治体もある。長崎県壱岐市は「市内に住所を有し、島外へ船舶等の交通機関を利用して通勤又は通学する」ことを条件に年間50万円を上限に助成金を支給している。

このケースでは優雅というより、必要に迫られてということになるが、通勤手段はなにも電車やバスに限られないことを改めて感じさせてくれる。

飛行機通勤もOKのLINEヤフーのいま

その意味では、通勤の選択肢に新幹線や飛行機等も含まれる制度をリモートワーク制度を運用する「LINEヤフー」は、柔軟な発想にあふれている。ヤフー(現LINEヤフー)が、住む場所の制限をなくし、月15万円の上限内なら、新幹線や飛行機での通勤を許可する「どこでもオフィス」を導入したのは22年4月。2023年10月からはグループ会社再編で社名変更されたが、その後の制度、通勤事情はどうなっているのか。

飛行機通勤OKのLINEヤフーは選択肢を増やすことで高いパフォーマンスの実現をサポート(CHAI / PIXTA)

「LINEヤフーでもリモートワーク制度は継続しています。北海道から沖縄まで全国各地で利用されています」と同社広報部は引き続き飛行機等の通勤者も多数いることを明かす。その上で、「制度の目的はあくまでもチームとして最も高いパフォーマンスを発揮できること。ですから働く場所の選択肢の一つとして、オフィスは引き続き重要と考えています」と補足した。

コロナ禍では約3年、出社を控え、在宅勤務を取り入れる企業が増大した。「出社不要論」が以前より強まった感もある。一方で、出社することで生まれる「力」を再認識する声も。LINEヤフーのスタンスは、その両方のメリットをいかに最大化するかから逆算してつくられた制度といえそうだ。

通勤手段は法的に制約されるのか

職場が楽しい、在宅が快適だーー。どちらがいいではなく、理想は、各自が最も力を発揮できるスタイルを可能にする柔軟な枠組みであり制度だろう。当然、そこに、電車やバス以外の通勤手段のバリエーションがあってもいいはずだ。

ちなみに、法律的には通勤手段は就業規則上問題なければ、基本、柔軟に選択できる。ただし、通勤時の事故は、要件を満たしていることが前提ながらも労災対象となっており、より安全かつ遅滞の少ないルートを選択するのが、社員としては望ましい姿勢といえるだろう。

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