日本ベトナム外交50周年 長崎県内で積極的な民間交流 旧正月の文化紹介や招待サッカー

 日本とベトナムは今年、外交関係樹立50周年を迎えた。同国と歴史的にゆかりの深い長崎県では行政だけでなく、民間レベルでも積極的な交流が広がっている。県内在住のベトナム人らは年明け、長崎市で同国の旧正月の文化や食を紹介するフェスティバルを初計画。佐世保市では今月、同国の小学生を招いたサッカー大会が開かれるなど、異文化や多様性を受け入れるための“種まき”が進んでいる。
 本県とのゆかりは16世紀の朱印船貿易の時代までさかのぼり、貿易拠点だったクァンナム省と県は2017年に友好交流関係を結んでいる。法務省の統計によると、22年末時点で本県在住のベトナム人は2506人で、県内の在留外国人1万1214人のうち最も多い。長崎市498人、諫早市414人、佐世保市325人など、留学生や技能実習生らが各地で暮らしている。
 フェスを計画したのは、県内のベトナム人でつくる在長崎ベトナム人協会(19年設立)。ホアン・ティ・ミ・ハオ会長は「ベトナム人は(長崎で)一番多いのに集まる機会が少なく、旧正月に帰れず寂しい思いをしている人は多い」と現状を説明。フェスを日本人との交流だけでなく、ベトナム人同士の交流の場として浸透させたいと意気込む。
 来年1月7日、長崎市尾上町のJR長崎駅西口広場で開催予定。長崎ベトナム友好協会やベトナム人を受け入れている県内企業なども協力する。同国の旧正月の風景を再現するコーナーや飲食ブースのほか、民族衣装のアオザイショー、日本の伝統的な踊りなどステージも用意する。
 ベトナム人が多い東京や福岡などではすでに開かれており、数万人規模でにぎわうという。ミ・ハオ会長は、中国の旧正月を祝う「春節祭」に由来し、長崎の冬の風物詩に成長した「長崎ランタンフェスティバル」を挙げ、「ゆくゆくはそんなイベントに発展させていきたい」と夢を語る。
 一方、佐世保青年会議所は10月20~23日、ベトナムから小学生10人を佐世保市へ招待。市内の小学6年生約30人がサッカーなどで交流した。佐世保の子どもたちも1泊は同じ施設に宿泊。バーベキューやキャンプファイアを楽しみ、翌日はYOSAKOIさせぼ祭りも一緒に見学した。
 同会議所青少年国際委員会の川久保泰我委員長によると、子ども同士は言葉の壁を越え、サッカーを通じて意気投合。ベトナム側は日本人の規律性に、日本側はベトナム人の自己主張する姿勢などにそれぞれ刺激を受けていたという。
 川久保委員長は「子どもたちの未来への可能性と多様性を育むことを目的に開いた。国際化が進む中、1人でも多くの子どもが今回の経験を将来に生かしてくれたらうれしい」と話した。

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