『ワンピース』シャンクスの出自の謎、3つの説が浮上中。天竜人説もふたたび濃厚に?

10月16日発売の週刊少年ジャンプ46号に、『ONE PIECE』(ワンピース)第1095話「死んだ方がいい世界」が掲載されました。

言葉を失うほど衝撃的な内容にヘビーな感想が寄せられた今話では、初出しとなったさまざまな情報からシャンクスの出自に注目が集まりました。

本記事では、読者たちの考察が白熱するシャンクスの出自に関する3つの説をご紹介します。

※『ONE PIECE』本誌最新話までの内容、および『ONE PIECE FILM RED』の内容に触れています。気になる方はご注意ください。

DVD『ONE PIECE』 14thシーズン マリンフォード編 piece.8(エイベックス・ピクチャーズ)より

【1】天竜人説:ふたたび濃厚になった説。そっくりな理由は…

今回の第1095話では“神の騎士団”最高司令官、フィガーランド・ガーリング聖が若かりしころの姿が描かれました。

ユニークすぎる髪型に気を取られがちですが、よく見るとその顔立ちはとても端正で男前。さらによく見ると……目鼻立ちがなんだかシャンクスと似ているのです。

世界のトップとされる五老星に特別扱いを受けていることや、“神の騎士団”の中心人物のシルエットがシャンクスの立ち姿に見えることなど、さまざまな要因によって以前から天竜人説が浮上しているシャンクス。そのうえ実際の“神の騎士団”トップ、ガーリング聖と顔立ちまで似ているともなればフィガーランドの血を引いているだろうと思わされるにはじゅうぶんですが、それだけではありません。

「フィガーランド」の姓は、2022年公開、今年10月20日からはアンコール上映がスタートした大ヒット映画『ONE PIECE FILM RED』内で初登場しました。

『RED』内では、シャンクスとウタが親子関係にあると判明したことで、五老星たちはウタがフィガーランド家の血筋かもしれないことを深刻そうに議論していましたよね。

DVD『ONE PIECE FILM RED』スタンダード・エディション(エイベックス・ピクチャーズ)より

つまり、シャンクスとウタが血の繋がった親子だと思い込んだ五老星たちは、シャンクスと血が繋がっている=フィガーランド家の人間だと認識していたと思われます。シャンクスがフィガーランド家出身であることを前提として話していたようにも捉えられるのです。

そうとなれば、暴虐の限りを尽くしていたガーリング聖と血縁があるかもしれないウタを、五老星揃って危険視していたのにも頷けます。またガーリング聖を見る限り、彼は特段強いうえに“神の騎士団”は天竜人のなかでもかなり位が高いよう。五老星がそんなガーリング聖と血縁あるシャンクスに一目置いていることにも合点がいくのではないでしょうか。

たとえばワノ国編のサブストーリーとして明らかになったゾロの出自では、顔がそっくりでも遠い親戚ということもあったので、シャンクスもガーリング聖と親子とは限りませんが、フィガーランド家の子孫にあたる可能性は高いと推測します。

【2】元奴隷説:初期シャンクスの服装に注目すると

一方で、天竜人とは真逆の地位にある「奴隷」が、シャンクスの元々の立場だったのではないかという声も出てきています。

第1095話では、奴隷として扱われている種族「バッカニア族」の存在が明らかとなりました。

実はこの「バッカニア」という名は、17世紀にカリブ海で活躍した海賊の総称として実際に記録に残っているのです。

そんな史実のバッカニアの姿を描いたイラストが、20世紀初頭に出版された海賊伝説とイラストを集めた作品『カリブの海賊』(作・ハワード・パイル)内に掲載されているのですが、そこに描かれたバッカニアの装いは胸元の開いた白シャツ・赤い腰巻き・すね丈の黒いズボン・サンダル・マントで初期のシャンクスとほぼ同じ。

単にシャンクスのモデルになっているだけという線もありますが、あえてシャンクスのモデルにしたバッカニアを奴隷の一族として描いているのだとしたら。シャンクス自身が奴隷生活を経験したのかは別としても、半分だけバッカニア族の血を引いているなんて展開もあり得るかもしれません。

【3】先住民説:西の海出身=ゴッドバレー出身の可能性

また、第1095話ではゴッドバレーの島が西の海(ウエストブルー)に位置していたことも判明しました。

西の海といえば、シャンクスの出身。そんな西の海にあった島・ゴッドバレーは天竜人の非道な催しの舞台に選ばれてしまい、島を治める先住民の王も亡きものに。有無を言わさず侵略されたのでした。

シャンクスは現在、39歳。そしてこの天竜人の侵略と「ゴッドバレー事件」が起きたのが38年前、シャンクスが1歳のときのできごと。

『ONE PIECE FILM RED』の特典として配布されたコミックス40億巻では、ゴッドバレー事件の際に「ロジャーが奪った財宝にまぎれ込んだ赤ん坊」がシャンクスだと明かされています。

当時、天竜人侵略の混乱をなんとか生きながらえた幼な子を逃すために宝箱に隠し、それをゴッドバレーに上陸したロジャーが偶然拾った……つまり、シャンクスは今はなき島・ゴッドバレー先住民の生き残りという可能性も考えられるのではないでしょうか。

シャンクスの涙、中立をとる意味は生い立ちにあり?

以前から囁かれている天竜人説、そして新たに浮上した奴隷説、先住民説を紹介しました。

筆者は、現在のシャンクスの優しさや中立の立ち回り、唯一無二の存在感を鑑みると、フィガーランド家の天竜人×奴隷の混血で例の催しの際にゴッドバレーへ送られた、禁忌の末に生まれた子という可能性もあるのではないかと推察します。

混血だからこそ、どこか二面性があるとも受け取れるように描かれており、巷で噂された二重人格説・双子説に繋がったのかも?とも。

DVD『ONE PIECE FILM RED』映画連動特別編(エイベックス・ピクチャーズ)より

ラフテル帰りのロジャーに質問をした日の慟哭の理由にも、血縁ある天竜人と奴隷の歴史、ゴッドバレーに起きたことなど、自身の生い立ちに関する内容が含まれていたのではないでしょうか。

シャンクスが何者であるかはまだ答えが分かりませんが、最強の天竜人や奴隷にされた希少種族、今はなき幻の島の先住民などと血縁があってもおかしくないほどに、作中において“特別な存在”であることには間違いないでしょう。どの説にも『ワンピース』らしいロマンを感じますね。

(執筆:まりも)

© 株式会社マレ