池袋暴走事故 妻子亡くした遺族ら訴え 約1億4000万円の賠償命令

4年前の4月に発生した池袋の乗用車暴走事故で妻と娘を亡くした遺族らが、車を運転していた男と保険会社に約1億7千万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は10月27日、男らに約1億4千万円の賠償を命じました。

この事故は2019年4月、豊島区東池袋で旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三受刑者(92歳)が、松永真菜さんと娘の莉子ちゃんをはねて死亡させたほか、9人が重軽傷を負ったものです。訴えていたのは真菜さんの夫の松永拓也さんら遺族9人です。

これまでの裁判で松永さん側は、「見通しの良い道路でブレーキをかけておらず、基本的な注意義務を怠り悪質だ」などと主張し、合わせて約1億7千万円の損害賠償を求めていました。東京地裁は10月27日、飯塚受刑者らに合わせて約1億4千万円の賠償を命じました。

判決について東京地裁は、遺族に対し飯塚受刑者が真摯な謝罪をしておらず、「慰謝料の算定で重要な一事情として考慮すべき」と判断したということです。

裁判を終え、松永さんは亡くなった妻と娘に思いを寄せ涙ながらに語りました。

松永さん:「2人のことは忘れることはないですし、もう一度、叶うなら、この腕で抱きしめたいけれど、それは絶対叶わないので。僕自身が残された家族と手を取り合って前向きに生きていこうと。真菜と莉子の命を無駄にしないという信条をもとに、(交通事故を防ぐための)活動は続けていきたい」

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