菊水祭350年祝い、復活の山車と屋台勢揃い プロジェクトのメンバーら万感胸に 宇都宮城址公園

宇都宮城址公園で披露された山車と屋台

 【宇都宮】宇都宮二荒山神社の菊水祭350年記念祭に合わせ、市民有志でつくる「宮のにぎわい山車復活プロジェクト」によって復活した山車と屋台の計4基が29日、宇都宮城址(じょうし)公園にお目見えした。4基同時に披露されるのは初めて。12年間かけて復元された勇壮な姿を前に、プロジェクトのメンバーは万感の思いを募らせた。

 展示されたのは高さ約9メートルを誇る「火焔(かえん)太鼓山車」、赤い陣羽織姿の人形が特徴の「桃太郎山車」、ピンク色の花飾りが目を引く「旧大黒町花屋台」、日本(やまと)武尊(たけるのみこと)が竜と戦う様子を再現した「日本武尊山車」。

 プロジェクトが残存物を活用したり、写真を手がかりに一から作ったりして、2011年から順次、復元した。4基目となった日本武尊山車の復元は、新型コロナウイルス禍で作業が進まない時期もあった。

 この日は関係者ら約50人が、朝から山車と屋台を同公園の芝生広場に次々と運び込み、組み立てや飾り付けをした。

 午前11時過ぎ、完成した4基の前で「西原こどもお囃子(はやし)会」と「宇都宮駅東お囃子連」が演奏を披露。華やかな音色が会場に響き、訪れた人たちは4基が菊水祭で巡行していた往時に思いをはせていた。

 午後2時40分ごろには、鳳凰(ほうおう)を飾り、同神社の祭神を乗せたみこし「鳳輦(ほうれん)」の渡御一行が市中心部を練り歩いた後に到着し、初めてのそろい踏みとなった。

 プロジェクトの岩本正男(いわもとまさお)事務局長(72)は「無事にお披露目できて良かった」と喜びもひとしお。一方で引き手の確保や組み立ての手間が課題となり、今回は巡行を見送った。「組み上がった状態で展示保存できる場所を確保し、次は4基で練り歩きたい」と岩本さんは力を込めた。

 菊水祭はこの日、同神社の鳥居付近で流鏑馬(やぶさめ)なども行われた。

宇都宮城址公園で披露された山車と屋台
宇都宮城址公園で披露された山車と屋台

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