太田「今日は1年間の集大成だった」村岡プリンシパル「新人は最後まで分からない」【SF第9戦決勝会見】

 10月29日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦。決勝後の会見で優勝を飾った太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、2位のリアム・ローソン(TEAM MUGEN)、3位の宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、そしてDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔チーム・プリンシパルがレースを振り返った。

■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

決勝 優勝

「まずは初優勝を嬉しく思います」

「スタートは不安もありましたが、やってみたら上手くいって前に出ることができました。後ろのローソン選手はペースも速くて、終始気を抜けない状況でした」

「ただ、自分も良いペースで走ることができていたし、マシンも本当に良かったので、今日は1年間の集大成でもあり、来年に繋がる良いレースだったと思います」

「レース終盤は、ローソン選手のオーバーテイク・システム(OT)使用状況を終始気にしながら、自分自身の余裕も加味しながらメンタル的にも厳しさを感じながら戦っていました」

「最終ラップに入った時には『勝ったかな』と感じて、泣かないだろうなぁと思って走っていたのですが、コントロールラインを過ぎたところで突然涙が出てきました」

「この勢いで、来年こそはチャンピオン争いができるように頑張ります」

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

■村岡潔チーム・プリンシパル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

「太田選手は新人ですから、スタートは上手くいきましたが『最後まで何をするかわからない』という感覚でハラハラドキドキでした」

「(第9戦を振り返ると)レース前半には太田選手から『リヤタイヤがきつい』という無線がありました。ただ、後ろの2台(2番手ローソンと3番手宮田)は太田選手よりもペースが下がっていたことが分かっていたので、後ろの動きを見てから動こうと決めることができました」

「ピット作業は速さよりも確実性だと思いながら普段練習しているのですが、我々はなぜか大事な時にだけ作業が素早くなるんです。順位が良いとモチベーションも上がって、調子に乗ってくるんですかね(笑)」

「ピットアウト後は同一周回のクルマがいて、これも彼(太田選手)への試練だろうなと思いましたが、抜かれる側も上手く譲ってくれたと思います。ただ、やっぱりファイナルラップだけは1番ドキドキしましたね」

「優勝したことはもちろん嬉しいですが、我々はホンダさんの若いドライバーの育成を担っていますので、その責任を果たせたことを感謝すると同時に、『若い子には無限の可能性があっていいなぁ』と感じています」

「シーズンが始まる前こそは、太田選手も『チャンピオンを獲ろうぜ』という気でいましたが、スーパーGTのテストでのクラッシュもあってシーズン前半は遅くなってしまっていましたね」

「また、我々は新導入となったSF23に対する理解についても外してしまっていたので、再浮上するには2~3年はかかりそうだと思っていました。ですが、5号車のドライバーである牧野任祐選手がチームの再起に働きかけて、チーム全体を引っ張っていってくれました」

「その成果もあって、第6戦富士での牧野選手のポールポジション獲得あたりから、ドライバーにとっても居心地のいいチームになっていると思います」

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 村岡潔チーム・プリンシパル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

■リアム・ローソン(TEAM MUGEN)

決勝:2位

「今日は、トリッキーなレースだったなと思います」

「スタートは、今週末を通してイマイチな感覚だったのですが、今回もあまりうまくいかなかったので悔しい点です」

「レースでは、太田選手にできるだけプレッシャーをかけて、いろいろなことを考えながら戦略的にピットタイミングを早めたりしてポジション奪取を狙いました」

「最後の10周もできる限り前に近づいて、相手がロックアップするなどのミスをするだろうかとも思いながら走っていましたが、彼の走りは最後までとてもスムーズで、とても速かったです」

「今回のレースでは、僕にはチャンスがなかったです」

■宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

決勝:3位

「4番手からのスタートでは、順位を上げない限りチャンピオン争いが厳しくなるだろうなと思っていました」

「なので、スタート時刻に関してチームと入念にコミュニケーションを取って臨みました」

「実際に、順位を落とすこともなく前に近づきながら良い位置取りもできたので、(前の野尻智紀を)オーバーテイクすることができました」

「レースペース自体は、あきらめずにベストを尽くせば前に付いていくことはできるかなと思っていたので、その点も良かったなと思います」

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