「本当に夢みたいだ」 豪州の22歳が地元コースで歓喜の時

メルボルンから車で3時間の小さな田舎町で育った(撮影/内山孝志朗)

◇アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 最終日(29日)◇ロイヤルメルボルンGC(オーストラリア)◇7055yd(パー71)

開催コースのロイヤルメルボルンGCから車で東に約3時間、バーンズデールという小さな田舎町でジャスパー・スタッブス(オーストラリア)は育った。12歳でメルボルンに引っ越して、同GCでのプレーが“ルーティン”になっていった。

「14か15歳のときからメンバーと一緒にプレーしているから、もう6、7年になるね。 私の妹もここの女子クラブのチャンピオン。だから、ここにはよく来る。この1週間はいい作戦が立てられたよ」。自国開催、そして慣れ親しんだコースで底力を発揮した。

プレーオフ2ホール目で勝利を決め、力強くガッツポーズ(撮影/内山孝志朗)

5位で出た最終日に4バーディ、2ボギー「69」でプレー。通算1オーバーで並んだチェン・ユンホーとウェニー・ディン(ともに中国)とのプレーオフに突入した。1ホール目はウェニーとバーディで分けて、チェンが脱落。迎えた2ホール目。ともにフェアウェイからの2打目は、スタッブスがグリーン奥カラー、ディンがグリーン右のバンカーへ。ボギーとしたディンに対し、スタッブスはパターで50cmに寄せた。パーパットを沈め、力強く拳を握った。

オーストラリアのチームメートから手荒い祝福を受けた(撮影/内山孝志朗)

ギャラリーから大歓声が上がり、仲間に手荒い祝福を受けた。「心拍数がおかしくなりそうで、胸の鼓動が伝わってきた。とにかくストロークをしようって…。パットが入った瞬間、頭が真っ白になって、それから20秒間、自分が何をしたのか分からなくなった」と歓喜の瞬間を振り返る。「木曜日の最初のティショットでキャディに言われたんだ。『日曜日のファーストショットとラストパットが決まったら、かなり最高だろう』って。すごいよ。本当に夢みたいだ」と喜びを爆発させた。

憧れの舞台が待っている(撮影/内山孝志朗)

来年のメジャー「マスターズ」と「全英オープン」の出場権を獲得した。「マスターズは子どもなら誰もが夢見るもの。ゴルファーなら誰もが一度はプレーしてみたいトーナメントだし、それが現実のものになるなんて言葉を失うよ。夢が現実になるんだから、どんなふうになるかはわからない。でも、いまは4月が待ち遠しいし、全英オープンも楽しみだよ」。憧れの舞台がやってくる。(オーストラリア・メルボルン/内山孝志朗)

自国開催の「アジアアマ」を制したジャスパー・スタッブス(撮影/内山孝志朗)

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