【天皇賞・秋レース回顧】長期休養明け、乗り替わりも痛恨だったドウデュース

1分55秒2という衝撃のレコードタイムで駆け抜けたイクイノックスは、世界一位を涼しい顔で証明した。ジャックドールが前半を57.7と、昨年のパンサラッサと似たようなラップで飛ばしていったが、息の入りづらい展開にも無理のない3番手追走だった。4コーナーでは抜群の手応えで、もう言葉はいらないという異次元のスピード感で抜け出し、間違いなく競走馬としてのピークを迎えている。

2着ジャスティンパレス、3着プログノーシスは後方2番手、最後方を形成。両馬共に展開的には絶好のはずだったが、勝ち馬があまりにも強すぎた。4コーナーでは最後方にいたプログノーシスが先に前を追いかける形に。勝負に行った分の2、3着で、展開ひとつでこの着順は入れ替わった可能性は十分にあった。

4着ダノンベルーガは中団後方でしっかりと脚は溜まっていたように見えたが、直線ではジリジリとした伸び脚。皐月賞以降ゴール前では同じような脚色になる感じで、大崩れはないが突き抜けることもない。あとひとつ足りず、メンバー、展開、全てが噛み合えばというところか。

5着ガイアフォースはハイペースの2番手からの粘り込み。早め先頭からの押し切りを狙った意図は明確だったが、その直後を世界一位の馬も早々に押し上げてきていたのでは苦しい。超ハイレベルな形でもよく5着に踏ん張った。

超一線級相手にいきなりの長期休養明けで…

2023天皇賞・秋 イクイノックスとC.ルメール騎手

7着ドウデュースは約8ヶ月半ぶりの出走。そこにきて武豊騎手が負傷で痛恨の乗り替わり。結果的に全てがマイナスに作用したか。向こう正面では終始行きたがるような形で、馬群にも揉まれて苦しい展開に。イクイノックスを破った流石のダービー馬もこれでは伸びる余力は残っていなかった。馬体も筋肉質な体型になり、歳とともに距離適性も明確になりつつあるのかもしれない。長期休養明けの影響もあったのか、様々な要因でリラックス出来なかったことが大きく影響したように思う。

11着ジャックドールは流石にぶっ飛ばし過ぎた感。一か八かの競馬だったが、2番手以降にもあれだけついてこられてはどうしようもない。昨年はパンサラッサだけが早いという展開で、2番以降を形成していた同馬はスローで能力を活かしきれない競馬だった。ペース云々というより、あれから1年、今年のメンバー的にも、心理的にも難しい面が作用したようには見えた。

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