いまロアルド・ダールがアツい!Netflix×ウェス・アンダーソン『ヘンリーシュガーのワンダフルな物語』は 『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』鑑賞前にもオススメの“異聞”読み聞かせ短編

Netflix『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』独占配信中

2023年もロアルド・ダール(※)がアツい! ダール原作の大ヒット作『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)の前日譚である『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が12月8日(金)より公開となるほか、Netflixではダールの短編をウェス・アンダーソン監督がベネディクト・カンバーバッチらを迎えて実写化した『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』が独占配信中なのだ。

(※ロアルド・ダール:1916-1990 イギリスの小説家/脚本家)

ロアルド・ダール×ウェス・アンダーソンの妙味

今年9月に4Kレストア版でリバイバル上映された『007は二度死ぬ』(1967年)の脚本を手掛けたのも、イアン・フレミングと旧知だったダールであることは映画ファンにはお馴染みだろう。ともあれ新作『ウォンチョコ』の前準備としてオススメしたいのは、やはり『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』である。

このタイトル作は40分ほどの中編だが、続いて配信された『白鳥』『ネズミ捕りの男』『毒』は20分未満の短編。初のNetflix参加となるウェス・アンダーソン節(?)が全作品で炸裂していて、まるでSNSでバズっているAI生成のウェス・アンダーソン風映像かと錯覚してしまうほどだ。

テイストとしては、やはり同じくダール原作の『ファンタスティック Mr.FOX』(2009年)に近いところがあり、本作でも演劇のセットのような舞台の中で、登場人物たちが第4の壁を破ってあらすじを語りかけてくる。

メインキャストはカンババになるが、ベン・キングズレーやレイフ・ファインズ、デブ・パテルらが全4作に共通して出演しているのも嬉しい。なおカンババの吹替は信頼の三上哲さんなので、日本語で鑑賞するのもオススメ。

『ウォンチョコ』前に観ておきたい『ヘンリー・シュガー~』

『ウォンチョコ』は、主演のティモシー・シャラメがアンダーソン作品『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2022年)に出演しているが、なんといっても監督を務めるのが“世界一おもしろい映画”こと『パディントン』『パディントン2』のポール・キングというのは強く喧伝しておきたい。

『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』の箱庭的な世界観からは『パディントン』シリーズとの共通点を見出すことができるし、『ヘンリー・シュガー~』でアンダーソン監督とダール原作の相性の良さを改めて確認した今、ポール・キング監督の『ウォンチョコ』への期待も高まるというものだ。

ちなみにイタズラ好きの妖精「グレムリン」を世界に広く知らしめたのもダールだそう(余談)だが、『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』と『白鳥』『ネズミ捕りの男』『毒』のお手軽さと面白さは、『チャリチョコ』しか知らないという人でも「彼の作品をもっと読んで/観てみよう!」と思わせるには十分すぎるのである。

Netflix『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』『白鳥』『ネズミ捕りの男』『毒』独占配信中

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