「また戦争だ」「巨人には必要なのさ」異形の戦闘機が飛び交う『ペルリンプスと秘密の森』本編特別映像解禁! アニメの新潮流“イベロアメリカ”筆頭作家が放つ最新作

『ペルリンプスと秘密の森』© Buriti Filmes, 2022

ブラジルの気鋭アニメ監督最新作!

前作『父を探して』(2016年)がアカデミー賞長編アニメーション賞に南米の長編アニメ作品として初ノミネートされ、その新たな才能に世界が驚いた気鋭のブラジル人監督アレ・アブレウ。『オオカミの家』のスマッシュヒットも記憶に新しい、アニメーションの新潮流として注⽬される“イベロアメリカ”の最も重要な作家のひとりとされるアブレウ監督の最新作が『ペルリンプスと秘密の森』だ。

2022アヌシー国際アニメーション映画祭オフィシャル・セレクションに選出され、2023年12月1日(金)に日本公開を迎える本作から、〈魔法の森〉の存在を脅かす巨人の住む国に辿り着いた主人公、クラエとブルーオの様子を捉えた本編特別映像が解禁された。

“戦い”をやめることができない〈残酷な世界〉

このたび解禁された映像は、不思議な時計や光の剣、車輪付きの城で聞く月の女王の話……それぞれの国の⾃慢をしながら辿った無邪気で楽しい旅路から一転、彼らは眼下に広がるビル群の光と、異形の鳥の形をした戦闘機を冷静に捉えながら「また戦争だ」「巨人には必要なのさ」と改めて、戦うことをやめることができない〈残酷な世界〉を直視する重要なシーンを捉えたもの。

クラエとブルーオは正反対の世界からやってきて、全く異なる文化を持ち、⼀世紀にわたって対立を続けていた敵対する国同士の秘密エージェントだ。しかし、互いに会話し、共感し、違いを乗り越えることで、より大ききな力を手に入れることができることを学んできた。「それは日々高まる今日の政治的緊張に関連付けることができるでしょう」とアブレウ監督は言う。

そして魔法の森を「遊び心に富んだ自由な子ども時代を象徴する空間」だと例え、子どもたちがすべて可能だと信じる時、彼らは希望の力を手に入れる。しかし人は成長し巨人となり、その力のことを忘れ森もまた置き去りにしてしまう。「でもこの力は、実は私たちの中に眠っていて、一番困難な時期になると私たちを導いてくれる光になるのだと思っています」とメッセージを送っている。

南米初のオスカーノミネート長編アニメ監督が見るブラジルの、世界の明日

本作の陽気で軽やかな⾳楽を担当したのはアンドレ・ホソイ。彼が率いるパーカッショングループBarbatuques(バルバトゥッキス)は監督と書き下ろした主題歌「Daqui prá lá, de lá prá cá (pra Naná) 」(From here to there, from there to here[for Naná])を担当。中国、ベネズエラ、コロンビアの楽器を使った多様な音色で、音でもカラフルで異なる要素が融合した強さを表現。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルと並ぶムジカ・ポプラール・ブラジレイラの代表的ソングライター、ミルトン・ナシメントの「Bola de Meia, Bola de Gude」のインストゥルメント曲も映画の中核をなし、心地よい没入感へと観客を誘う。

彗星のごとく現れた新たな才能に世界が驚いた気鋭のブラジル人監督のアレ・アブレウ。一人の少年の目を通して描く南米大陸の歴史と冒険の物語である映画『父を探して』で、2014年アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタルアワード(最高賞)&観客賞をW受賞、2016年に新設されたアニー賞長編インディペンデント作品賞(のちに『ウルフウォーカー』や『未来のミライ』が受賞)を受賞したほか、2016年アカデミー賞長編アニメーション賞に南米の長編アニメ作品として初ノミネートされた。

前作はダイアローグのない作品だったが本作では主人公が2人になったことで対話が生まれ、セリフが生まれた。異なる者同⼠が同じ⽬的のために違いを超えて⼿を組むとき、個⼈の才能を超えた⼤きな力が⽣まれ、仲間がいることへの安⼼感や幸せは、より良い未来のための⼀歩を踏み出すエネルギーとなっていく。そしてアマゾンの保全が⼤きな課題であり責任でもあると感じているブラジル人監督の目には、やりきれない現実が映っているが、同時に「子どもの澄んだ目で見つめると光のような希望が見えてくる」と、本作について語っている。

『ペルリンプスと秘密の森』は2023年12月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかロードショー

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