最長プレーオフは何ホール? ブティエは長丁場終え「まず、シャワーを」

アタヤ・ティティクル(左)とのプレーオフを制したブティエ(Jason Butler/Getty Images)

◇米国女子◇メイバンク選手権 最終日(29日)◇クアラルンプールG&CC(マレーシア)◇6596yd(パー72)

最終日前夜、ツアーから選手にこんな通達があった。『日曜に試合を完遂することが目標ですが、天候によっては、月曜フィニッシュの可能性もあります』。プレーオフを含む27ホールの優勝争いに決着がついたのは午後6時だ。「本当に、1週間が長かった…」。セリーヌ・ブティエ(フランス)がバーディパットを決めて天を仰いだ10分後、暗い空から雷鳴がとどろいた。

雷雨予報が続いたクアラルンプールは、月曜から大会初日までの4日間で悪天候のため中断を挟んだ。最終日もサスペンデッドが危ぶまれる中、優勝争いは長丁場にもつれこんだ。

やっと終わった…(Jason Butler/Getty Images)

通算21アンダーで並んだブティエと、アタヤ・ティティクル(タイ)がプレーオフに進み、雷雲接近により1ホール目の途中から約1時間半の中断。午後4時15分に再開したが、そこからが長かった。

「どこだったか思い出せないけど、1ホール目か2ホール目でチャンスがあったのに、逃してしまった気がする」とブティエ。一方がチャンスにつければもう一方も応戦し、どちらかがピンチを迎えても、しぶとくパーを拾っていく。ギャラリーも本人たちも笑ってしまう接戦は9ホールに及んだ。

米女子ツアーのプレーオフ最長記録は、1972年「コーパス・クリスティ・シビタンオープン」での10ホール。記録に並ぶ前に、ブティエが15番(パー3)でバーディを奪って優勝を決めた。「正直、こんなに長くなるとは思わなかった」と苦笑い。「ティティクルがミスしないと分かっていたので、バーディチャンスを作るしかない。彼女は素晴らしい選手だから、その緊張感に長い時間耐えられたのはとてもうれしい」とプレッシャーと戦った長い一日を振り返った。

シーズン4勝目で、世界ランキングは5位から1位になる。それよりも「まず、シャワーを浴びて食事できるのを楽しみにしています」。次戦にする11月9日(木)開幕「アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン」(フロリダ州ペリカンGC)まで、ゆっくり体を休めるつもりだ。(マレーシア・クアラルンプール/谷口愛純)

プレーオフの米女子ツアー最長記録(〇が優勝者)

10ホール/1972年「コープス・クリスティ・シビタンオープン」(〇ジョー・アン・プレンティス、サンドラ・パーマー、キャシー・ウィットワース)

9ホール/2012年「キングスミル選手権」(〇申ジエ、ポーラ・クリーマー)、23年「メイバンク選手権」(〇セリーヌ・ブティエ、アタヤ・ティティクル)

8ホール/2018年「ANAインスピレーション」(〇パニーラ・リンドベリ、朴仁妃、ジェニファー・ソン)

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