大粒の黒枝豆、畑で「4粒入り」さや発見 品種開発者もびっくり「これまで見たことない!」 兵庫・加西

多くのさやをつけた黒大豆枝豆「ひかり姫」と、栽培者の大橋麻世さん=加西市上万願寺町

 「これまで見たことがありません!」。兵庫県立農林水産技術総合センター(加西市別府町)の主席研究員、杉本琢真さん(50)から驚きの声で連絡があった。加西市上万願寺町で栽培された大粒系の黒大豆枝豆「ひかり姫」から、4粒入りのさやが見つかったという。同品種を開発した杉本さんによると、通常は1さやに1~2粒、多くても3粒だそうで、「万願寺地域の環境が栽培に適している証し」と力を込める。(敏蔭潤子)

 4粒入りのさやは、同市下万願寺町の農家大橋麻世さん(34)の畑で見つかった。今月22日、枝から切り離したさやを選別している途中、妻の愛さん(34)が発見。大橋さんは「珍しい」と思い、杉本さんに写真を送ったという。

 杉本さんによると、山沿いに広がる万願寺地域は、市内の平地よりも夜間の気温が0.8~1.5度低く、受精した花が落下しにくい。開花時期に平均気温が低いと、粒数が増える傾向にあるという。

 さらに、同地域は山際から流れる水が豊富にあり、大橋さんは、開花直前の8月10日ごろ、株元に水をたっぷり入れた。

 「雨が少ない時期でも、水に恵まれた地域なので困らない」と大橋さん。開花前の花芽分化のタイミングで水分が補給されたことにより、一斉に花が咲き、受精が起こりやすくなるという。

 もともと万願寺地域は土壌が粘土質のため、保水性が高く、水分を必要とする黒大豆枝豆の栽培に適している。ひかり姫は通常、1株に150~170のさやを付けるが、万願寺では200~300。3粒入りのさやも多いという。

 杉本さんは「4粒入りのさやは、万願寺地域の環境と、適期に散水する栽培技術のたまもの」と話している。

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