ネット中傷、高止まり 相談全国5000件超 茨城県内も毎年摘発

インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷が後を絶たない。総務省が運営を委託する違法・有害情報相談センターが昨年度受けた相談件数は、全国で5745件に上り、15年度から5千件以上で高止まりしている。内容によって名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪などの刑事責任を問われる場合があり、茨城県内でも毎年摘発されている。

同センターによると、相談件数が多いサービス上位5者は、X(旧ツイッター)、グーグル、メタ、5ちゃんねる、爆サイだった。相談内容は「削除方法を知りたい」が3852件で最多。続いて「発信者の特定情報を知りたい」が923件、「警察などへの相談方法を知りたい」が660件となっている。

県内でもトラブルが相次いでいる。県警に寄せられたサイバーに関する名誉毀損、侮辱、脅迫の相談は、昨年が157件、今年は9月末現在で109件だった。県警サイバー犯罪対策課によると、実際に摘発されたのは2009年から3~15件で推移している。今年は9月末までに名誉毀損4件、侮辱1件、脅迫5件だった。

今年あった事例としては、ネットオークション「ヤフオク!」の評価欄に「送料を不当に搾取する悪徳な業者」と投稿した人や、ネット掲示板「爆サイ」で「(実名)は毎日無免許運転を繰り返している」と投稿した人が、名誉毀損容疑で摘発された。また、写真共有アプリ「インスタグラム」で女性に対して「つめる」と投稿した脅迫事件もあったという。

法テラス茨城には、新型コロナウイルスの影響が拡大した頃からネット上のトラブルに関する相談が増えているといい、小西俊一弁護士は「ネット上はオープンな世界であり、投稿は軽いものではない。拡散される可能性を考え、書き込む前に一呼吸置いてほしい」と話した。

警察庁はネット上で誹謗中傷やプライバシー侵害のトラブルに遭った際は、警察や弁護士のほかに、同センターや法務省の人権相談窓口、一般社団法人セーファーインターネット協会の「誹謗中傷ホットライン」に相談するよう呼びかけている。

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