渋谷と対照的?池袋のハロウィンに過去最多の14.1万人が来場 地元企業×行政の共催スタイルが定着した10周年

400名のコスプレイヤーが池袋の街を練り歩いた「コスプレパレード」(区立中池袋公園前/提供:池袋ハロウィンコスプレフェス実行委員会)

10月28日(土)と29日(日)の2日間、コスプレイヤーによる大規模ハロウィンイベント「池袋ハロウィンコスプレフェス2023」が池袋駅周辺にて開催され、来場者が開催史上最多の累計14.1万人を記録したことが公式発表により明らかとなった。

「池袋ハロウィンコスプレフェス(通称:池ハロ)」とは、毎年2万人以上のコスプレイヤーが参加する日本最大級のハロウィンイベント。豊島区とサンシャインシティの共催で開催され、メイン会場の「イケ・サンパーク」を中心に「池袋サンシャインシティ」や「サンシャイン水族館」「東池袋公園」など120を超える施設・店舗でコスプレを楽しめるイベントとなっている。

2日間を通じて晴天に恵まれた今回の池ハロ。初日には10周年を記念した「セレモニー」が行われ、アンバサダーに就任した小林幸子が『鬼滅の刃』鬼舞辻󠄀無惨のコスプレでランウェイを披露したほか、豊島区・高際みゆき区長、ドワンゴ取締役CCO・横澤大輔、アニメイトホールディングス専務取締役・丹羽康弘、サンシャインシティ代表取締役社長・合場直人も人気キャラクターのコスプレで登場。高際区長からは、「豊島区・池袋がマンガ・アニメ・コスプレの聖地であることを宣言します」と、豊島区・池袋がサブカルチャーを軸に、さらなる発展を期待するコメントが寄せられた。

イケ・サンパークのメインステージでは、参加者が自慢のコスプレをランウェイで披露できる「ニコニココスプレクション」や、親子でステージに立てる「親子でハロウィン」など幅広い層が楽しめる企画を展開されたほか、キャノン協賛による「ガチ撮影エリア」も好評を博した。そして注目のスペシャル企画「池ハロコスプレパレード」では、過去最大の約400名が参加し、マーチングバンドの生演奏とともにHareza池袋前からサンシャイン60通りまでの道のりを多彩な衣装に身を包んだコスプレイヤーたちが圧巻のパレードを披露した。

また、今年からは新たな施策として小学生を対象とした「キッズチケット」の販売が行われたほか、豊島区民の小学生は無料になるキャンペーンも実施されており、親子連れも多数訪れた。イケ・サンパークではキッズ向けアニメのコスプレイヤーが好評を博したほか、中には人気アニメ『SPY×FAMILY』のフォージャー家に揃って扮する家族もいるなど、幅広い世代が思い思いのコスプレを楽しんでいた。

都内のハロウィンを巡っては、渋谷区による“自粛要請”が大きな注目を集めている。昨年も実施された渋谷駅周辺での酒類販売の自粛陽性に続き、本年10月中旬から「渋谷はハロウィーンイベント会場でありません」と大規模な横断幕を駅前に掲示しているほか、30日現在では駅前の名所「ハチ公像」の周囲を防護柵で囲み侵入を禁止するなど厳戒態勢が続く。

自粛を呼びかる渋谷とは異なる方針を採る池袋。開催の狙いと今後について、先の高際区長は「行政としても、地域の皆様とともに、子どもたちや女性がフェスティバルを存分に楽しめる環境を目指し、安全・安心な街づくりの面からしっかり応援してまいります。」とのコメントを寄せており、区が目指す“文化を基軸としたまちづくり”を体現する場であるとして、支援し続ける考えを示していた。

コスプレに注目したイベントスタイルに加え、チケット制により人口規模に大きな差があることから、一概に「渋谷と対照的」と評するべきではない。しかしながら、主催者が存在し自治体と地元企業が力を合わせて“イベント”として運営することで、一定の規律が保たれていると評価する声が現地参加者やSNSの間で多く見受けられた。

こうした取り組みの結果として「10年目」という持続的な開催へと繋がり、コスプレ好きだけでなく親子連れ、外国人観光客など幅広い層が安心して来場できるイベントになっていたことが2日間を通じて見えてきた。(=現場取材班)

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