退職金の優遇課税見直さず 政府与党、「骨太方針」を転換

退職金課税の現行制度(イメージ)

 政府、与党が、24年度税制改正では、同じ会社に長く勤めるほど退職金への課税が優遇される現行制度を見直さない方向となったことが30日、複数の関係者への取材で分かった。岸田政権が6月に決定した「骨太方針」に「見直す」と明記したが、一部の人は退職金の手取り額が減る可能性があり、SNSに「サラリーマン増税」との投稿が相次いで炎上した。政府、与党は増税批判を回避する。

 政府は、11月2日に閣議決定する経済対策で24年6月から所得税と住民税を減税する。並行して、増税につながりかねない退職金課税の見直しに踏み切れば、理解は得られないと判断した。与党の税制調査会幹部は「議論はするが、結論は急がない」と話し、25年度以降の税制改正での結論を目指す。

 現行制度は、退職金から控除額を引いた金額の2分の1に所得税と住民税が課せられる。控除額は勤続20年まで毎年40万円、20年超では毎年70万円が積み上がる。勤続20年は800万円、勤続30年では1500万円で、勤続20年超の控除額を減らす案を検討する構えだった。

© 一般社団法人共同通信社