「すでに地裁で検討済み」袴田巖さん再審開始認めた当時の裁判長 検察の即時抗告を「棄却すべき」との意見書提出明らかに

10月27日、再審=やり直し裁判が始まり、注目を集めるいわゆる「袴田事件」で2014年に、静岡地方裁判所の決定で袴田巖さん(87)の再審開始と釈放を認めた村山浩昭元裁判長が当時、検察の即時抗告に反論する意見書を提出していたことがわかりました。

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1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑判決を受けていた袴田巖さんは、2014年、静岡地裁で再審開始と釈放を認められました。

その後、検察は、東京高等裁判所に対して、地裁決定を不服とする即時抗告をしましたが、当時の静岡地裁の裁判長だった村山浩昭さんが東京高裁に検察の申し立てを棄却するよう、意見書を提出していたことが村山さん本人への取材で分かりました。

村山さんは、決定の中で長年、袴田さんの犯行着衣とされてきた「5点の衣類」について、捜査機関によるねつ造の可能性を指摘。その根拠となった弁護側による「5点の衣類」のDNA鑑定などについて、検察が「再鑑定が必要」と東京高裁に不服を申し立てたことに対して、村山さんは意見書の中で、「それらはすでに静岡地裁で検討済み」として、即時抗告は棄却するべきと東京高裁に訴えたということです。

袴田さんの再審をめぐっては、東京高裁が一度、再審開始を取り消していますが、2023年3月、再び審理を行った東京高裁が再審開始を決め、10月27日からやり直し裁判が始まっています。

これまで再審が行われた4件すべての死刑事件で無罪が言い渡されていて、袴田さんにも無罪判決が下される公算が大きいとみられています。

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