「千本桜」ご当地で権太を熱演 奈良県下市で初の歌舞伎体験イベント

片岡千壽さんがいがみの権太を演じた「しもいち歌舞伎の日」=下市町下市の下市観光文化センター

 歌舞伎の古典演目「義経千本桜」に登場するいがみの権太ゆかりの奈良県下市町でこのほど、初めての歌舞伎体験イベント「しもいち歌舞伎の日」があり、町内の小中学生(196人)と教職員、町民ら約300人が舞台芸術の魅力に触れた。

 同町下市の下市観光文化センターのステージに義経千本桜すし屋の段「つるべずし」の舞台セットが設営され、歌舞伎役者の片岡千壽さん、片岡千太郎さん、片岡愛三朗さんがダイジェスト版でいがみの権太と妹お里、平維盛を演じた。千壽さんは「ご当地で権太を演じるのは歌舞伎400年の歴史で初めてです」と話した。

 また、落語家桂吉坊さんが子どもたちにも分かりやすく歌舞伎を紹介。講談師旭堂小南陵さんはいがみの権太の物語を小気味よいテンポで講釈した。

 客席の子どもたちも、役者の決めポーズ「見えを切る」所作や女形が「かかか」と泣く表現に挑戦。演技派役者になり切った子どもたちに、司会進行の桂さんは「合格です」と喜んだ。

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