ドイツは“サービス砂漠”、日本は“サービス過多”…「カスタマーハラスメント問題」の対応策とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。10月23日(月)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、東京都が強化を進める“カスタマーハラスメント対策”に着目しました。

◆東京都、「カスハラ」の対策強化へ

客からの迷惑行為により労働環境が害される"カスタマーハラスメント(カスハラ)”について、東京都は「新しい東京実現会議」で経営者団体や労働者団体の代表らと今後の対応について協議しました。

同会議では各団体の代表らがカスハラへの対応の難しさを直訴。東京経営者協会の梶田恵美子副会長・理事は「顧客の正当な申し出かカスタマーハラスメントなのか、正確な理解を進めることが最も重要だと考えている。一社単独、いち業界での対応には限界があるため、国や東京都と連携しながら社会全体で適切な対応をはかっていくことが望まれる」と主張。

潮田副知事は適切な対応や対策について、専門家を集めた話し合いの場を設ける方針を示しました。

◆ドイツは"サービス砂漠”、一方で日本はサービス過多!?

この問題に対し、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんはまず、故郷ドイツでのサービス状況について言及。「ドイツには"サービス砂漠”というワードがあり、基本的にサービスが受けられない前提でみんな生きている。逆にいいサービスがあると感謝するくらい」と話します。

そうした背景もあって、ドイツ人が来日すると日本のサービスの良さに感動するそうで、「日本はカスタマーに対して丁寧すぎる。それは素敵なことではあるが、本当は強く言わないといけない部分もあり、みんなで連携していくことが大事」とマライさん。さらには、「日本社会そのものがサービス精神に対する要求レベルが高いので、みんなで下げるか、現実的に従業員の給料を考えた上で、我々も行動していくことが大事だと思う」とも。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、マライさんの意見に同意した上で「高い賃金を得ていることはある種、自尊感情に繋がり、肯定感や自分の存在価値を社会のなかで見出すことができるが、そうした構造が今はあまりない」と現状を悲嘆。特にカスハラを受けやすい飲食業やサービス業、宿泊業などは困難な状況にあることからも賃金を上げることが重要とし、「賃金の上昇と連動して物価を上げていく、日本は健全なインフレを目指さないといけない。そうしたことが一切ないこともカスハラに繋がっていると思う」と持論を述べます。

キャスターの堀潤によると、フランスでは物価の変動に合わせて最低賃金が自動的に上がる仕組みが政策のなかに組み込まれているため、国民が声を上げずとも相応の対価を得られることを引き合いにし、日本もそうした構造的な転換をすべきと訴えます。

「The HEADLINE」編集長の石田健さんは「(フランスのように)政策に組み込むのはいいアプローチだと思う」と賛同しつつ、「特にエッセンシャルワーカーに対しては、重要な仕事をしているのになぜ賃金が低いのかという問いを、我々の社会は気づかなかった」と指摘。

さらに石田さんは「格差の問題はみんな教科書通り理解しているが、そもそも格差のレベルではなく、本当にいい仕事をしている人がいい賃金をもらっているのかというところに最近立ち返り始めた。これに関してはもう少し政策的な議論が必要」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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