富山市大沢野でクマに襲われ2人負傷

女性2人がクマに襲われた住宅。ブルーシートに覆われた玄関(中央奥)からクマが侵入した=31日午後0時半ごろ、富山市加納

 31日午前11時ごろ、富山市加納(大沢野)の住宅で女性2人がツキノワグマに襲われた。県によると、クマは玄関のガラス戸を破って住宅に侵入し、住人の女性(75)が右腕と左ほおの骨を折り、親戚の女性(37)が鎖骨を折るなどしていずれも重傷。消防によると、2人とも意識のある状態で病院に運ばれた。市や猟友会が現場周辺を捜索したが、クマは捕獲されていない。県内のクマによる人身被害は今年6件目。 

 県自然保護課によると、女性(75)と夫、親戚の女性(37)の3人が住宅の前の路上にいたところ、クマが東側から向かってきた。3人はすぐに家に逃げ込んだものの、クマはガラス戸を割って侵入。女性2人を襲った後、住宅の裏の畑を抜けて逃げたもようで、近くの路上にクマの血とみられる痕跡が南側に向かって続いていた。

 現場はJR東八尾駅から南東に約2キロで、田畑に住宅が点在する地域。近くに国道41号が通り、神通川が流れる。住宅や商店などが立ち並ぶ地域とも隣接しており、富山市によると、クマが本来生息していない地域とされる「ゾーン3」だった。同市大沢野地域では31日、クマの出没情報が相次いでおり、県は女性2人を襲ったクマと同じ個体の可能性もあるとみている。

 人身被害を受け、現場から約1キロの大沢野小学校は31日の下校時、保護者に児童を迎えに来るよう依頼した。11月1、2日も保護者に送迎を要請し、グラウンドの利用を中止する。約2キロ離れた大沢野中学校も同様の対応を取り、1、2日の部活動は取りやめる。

 県は31日、今年4度目のツキノワグマ出没警報を発令した。県内では10月、クマによる人身被害が4件起きており、いずれも富山市内。17日には同市江本(えのもと)で高齢女性が襲われ死亡した。県自然保護課によると、10月に県内でクマが出没した件数(目撃、痕跡)は31日午前11時時点で243件となり、昨年10月の22件の約11倍に上っている。

女性がクマに襲われた住宅=31日午後0時25分ごろ
女性2人がクマに襲われた住宅=31日午後0時半
女性2人がクマに襲われた現場の周辺=31日午後0時半ごろ
富山県のツキノワグマ出没情報地図(クマっぷ)より。中央の赤い印が今回の現場とみられる

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