福井県敦賀市の人気パン屋「パナショー」が年末で閉店 惜しむ声やまず…店主「最後まで丁寧に」

年内での閉店を決めたパナショーの那須孝雄さん、由紀代さん夫妻=福井県敦賀市津内3丁目

 天然酵母を利用した昔ながらのおいしいパンで幅広い世代に愛されてきた福井県敦賀市のパン屋「酵母の工房パナショー」(同市津内3丁目)が年内で閉店する。70年に渡って市内外のパン好きに親しまれ、近年は昆布や伝統野菜を生かした地元ならではのパンも生み出してきた。惜しむ声はやまず店主は「感謝の気持ちでいっぱい。最後まで今まで通り丁寧にパンを作りたい」と話している。

 那須孝雄さん(65)と由紀代さん(66)が営む。昭和初期から製粉業などを営んでいた孝雄さんの先代が1953年、京都から職人を招いて始めた製パン業が前身。滋賀や京都への卸売りの販路を拡大し、敦賀市や美浜、旧三方町の学校給食を受注するなどしてきた。2007年に卸売り、給食から撤退し、08年に現在の場所にパン屋を開いた。「パン那須商店」からパナショーと名付けた。

 自然発酵種(天然酵母)を利用し「十分にこね、十分に発酵させ、焼き込む。普通のパンを作ってきた」と孝雄さん。風味豊かな食パンやフランスパンは根強い人気で、近年は北陸新幹線敦賀開業を控え「わさび昆布カスクート」や伝統野菜の赤カブを生地に練り込んだ「アカカンバのパン」など「ツルガコラボパン」を開発してきた。

⇒パナショーが「わさび昆布」使ったパンを開発

 孝雄さんは午前0時からオープンする同7時に間に合うよう、時間と手間がかかる「普通のパン作り」を続けてきた。だが、ここ数年、何度も体調を崩し、今年9月に閉店を決断。閉店の告知を店頭に張り出すと惜しむ声が次々と寄せられ、由紀代さんは「お客さんに愛されてうれしい」、孝雄さんは「ありがとうの言葉しか思いつかない」と話している。

 店舗の貸与やオーブンなど備品の安価な譲渡による事業承継を考えているという。

 日曜定休。営業時間は午前7時~午後5時半。営業最終日は12月30日。問い合わせは同店=電話0770-22-5241。

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