日米両ツアーの選手が出場する米LPGA公式戦「TOTO ジャパンクラシック」（茨城県・太平洋クラブ美野里コース／6598ヤード、パー72）が2日、開幕する。
今大会で優勝すれば米ツアー参戦の権利が得られるとあって、吉田優利、西郷真央、原英莉花ら海外を目指す選手たちがいつも以上に高いモチベーションで臨んでくる一方、激しさを増す年間女王争いにも大きく影響を及ぼす4日間大会となる。
また、凱旋帰国となる渋野日向子、勝みなみにも注目が集まる。来季の米ツアーシード権を確実にするため、是が非でも上位フィニッシュしたいところだ。それぞれの思惑が交錯する中、選手たちはどんなプレーを見せてくれるのか。
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■総合力の高い選手が上位に来る
今季の舞台は「太平洋クラブ美野里コース」。2020年大会以来、3年ぶりの開催となる。
フラットだが、戦略性の高いレイアウトであるため、正確なショットとパッティングが要求されるといわれる。フェアウェー（FW）は狭く、アンジュレーションがあるため、2打目の精度も問われる。さらに、グリーンには小さなマウンドがたくさんあり、気が抜けない。
この手強いコースをどう攻略すればいいのか。そのヒントを探すため、同コースで行われた20年大会上位選手のスタッツを調べてみた。以下をご覧いただきたい。
コース特性を踏まえて、狭いFWを捉える力＝FWキープ、マウンドのあるグリーンの攻略力＝パット数、2打目・3打目の精度＝パーオン数と、3つのスタッツに着目した。そして驚くべきは、優勝した申ジエ（韓国）がこの3つ全てでトップの数字を残していたことだ。
要はどれか1つだけ良くても勝つのは難しい、総合力がなければ優勝することはできないというのが結論になるだろう。これを受けて、今度はこの3つに対応する今季ここまでの年間スタッツをひもといてみよう。
左から順に、FWキープ率、平均パット数（パーオンホール）、パーオン率の上位30選手をピックアップしてみた。3つのスタッツ全てでトップ30入りしている選手は、山下美夢有、申ジエ、稲見萌寧、阿部未悠、桑木志帆、佐久間朱莉。わずかに6人しかいない。
その中でも、断トツの数字を残しているのが山下だ。FWキープ率2位、平均パット数1位、パーオン率4位である。これほど総合力の高い選手はいない。もちろん調子やコースとの相性はあるが、それを差し引いても優勝候補の筆頭は山下だろう。
年間女王を争う申も負けられない戦いとなる。FWキープ率6位、平均パット数3位、パーオン率14位というスタッツに加え、今大会3勝の実績を持つ。そのうちの1勝は「太平洋クラブ美野里コース」でのもので、コースとの相性もいい。早くもこの試合で、メルセデス・ランキング首位を奪還することも十分あり得る。
今季まだ優勝のない稲見もこうして見ると、やはり総合力が高い。ショットとパットがかみ合えば、いつ勝ってもおかしくない選手といえる。
一方の米ツアー勢だが、一人抜きんでているのが、出場選手中世界ランキング最上位（7位）のキム・ヒョージュ（韓国）だ。米ツアーの今季スタッツを見ても、平均ストローク1位、パーオン率4位、FWキープ率2位、バーディ数1位とすさまじく、総合力の高さは折り紙付きといえる。
また、米ツアー参戦中の渋野と勝だが、現時点の年間ポイントランキング順位は、それぞれ81位、77位。来季のフルシードが与えられるのは80位以内なので、両選手とも正念場を迎えている。それだけに今大会の意味は大きい。地の利、ギャラリーの声援と、プラス材料は多い。それらを力に変えて、ぜひとも上位進出してもらいたいところだ。
初日の注目組だが、日米両ツアーのトップ選手が集うとあって見どころが多い。
まずは17年「全米女子プロゴルフ選手権」覇者のダニエル・カン（米国）、渋野、山下の組。9時28分、1番スタート。次にヒョージュ、22年の「シェプロン選手権」を制したジェニファー・クプチョ（米国）、岩井千怜のペア。1番から9時39分にティーオフする。
現在、世界ランキング12位のリン・ジーユウ（中国）、勝、小祝さくらのペアリングも見逃せない。1番から9時17分のティーオフ。そしてメジャー3勝のチョン・インジ（韓国）は、畑岡奈紗、岩井明愛とのラウンド。9時50分、1番スタートとなる。
古江彩佳は、今季プロ転向し、デビュー戦で優勝の快挙を成し遂げたローズ・チャン（米国）、19年「全米女子プロ」覇者・ハナ・グリーン（オーストラリア）と回る。10時01分、1番スタート。最後に、ディフェンディング・チャンピオンのジェマ・ドライバーグ（スコットランド）、櫻井心那、申の組み合わせ。1番から10時12分にティーオフする。
■有力選手のペアリング
なお、有力選手の主なペアリングは以下の通り。
1番スタート／8:44／稲見萌寧、イ・ミヒャン（韓国）、上田桃子
1番スタート／8:55／西郷真央、ポーラ・レト（南アフリカ）、西村優菜
1番スタート／9:06／原英莉花、チエン・ペイユン（台湾）、笹生優花
1番スタート／9:17／リン・ジーユウ、勝みなみ、小祝さくら
1番スタート／9:28／ダニエル・カン、渋野日向子、山下美夢有
1番スタート／9:39／キム・ヒョージュ、ジェニファー・クプチョ、岩井千怜
1番スタート／9:50／チョン・インジ、畑岡奈紗、岩井明愛
1番スタート／10:01／ローズ・チャン、古江彩佳、ハナ・グリーン
1番スタート／10:12／ジェマ・ドライバーグ、櫻井心那、申ジエ
◆渋野日向子、古江彩佳、山下美夢有、岩井ツインズ…中心選手たちはいったい何位に…最新世界ランキング
◆畑岡奈紗は岩井明愛、渋野日向子が山下美夢有と同組／TOTOジャパン組み合わせ
文●河野道久
