なぜキュレーションは発見されないのか?〜ノアドットの現在と今後②

前回の記事では、当社が目指す「情報流通の分散化」が果たされていないこと、その最大の原因が「キュレーションがユーザーの目に触れる機会が極めて少ないこと」にあると述べました。では、なぜキュレーションは発見されないのか? その理由について詳しく見ていきます。

キュレーションが発見されない原因

キュレーションが発見されない最大の原因は、現在キュレーターとして活動しているメディア(新聞社、放送局などコンテンツホルダーとしてもキュレーターとしても当社サービスを利用しているメディアを含む)が、自サイトのトップページに直接アクセスする読者をほとんど持っていないことにあります。

そもそも、当社サービスを利用しているかどうかに関わらず、多くのメディアは、読者の自サイトへのアクセス元を以下の二つに大きく依存しています。

  • Google検索等からの流入
  • Yahoo!ニュース「関連記事リンク」等からの流入

ロイター社の「デジタルニュース リポート」では、サイトへのアクセス方法として直接トップページを訪れる「ダイレクトエントリー」と、Yahoo!ニュースなどのアグリゲーターや検索エンジンを経由して訪れる「サイドドアアクセス」があるとして、これらの割合について各国のデータを比較しています。それによると、日本や韓国は欧米各国と比べて、サイドドアアクセスの割合が極端に大きいことが分かります。

「ロイター・デジタルニュース リポート 2023」より
「Reuters Institute Digital News Report 2019」を元に当社作成

検索エンジンやアグリゲーター経由でサイトを訪れる読者の関心対象は、個々の記事であってサイト全体ではないことが大半です。したがって、この経路でサイトを訪れた読者の中には、目的の記事だけを読んですぐに元のページ(検索結果ページやアグリゲーターのページ)に戻る「ヒット&アウェイ」行動を取ったり、元のページに戻らないまでもサイト内の記事ページを回遊するにとどまったりして、トップページに上がってサイト自体を知ろうとまではしない人が多いとされています。

しかし、ノアドットを利用するメディアは「キュレーション」を記事の周辺ではなくトップページに掲載することが多いため、ユーザーがこうした行動を取る環境においては、キュレーションに触れる機会が非常に少なくなってしまうのです。つまり、トップページに直接アクセスする読者の割合が大きいメディアが十分にあり、それらのメディアがキュレーションを行うのでなければ、キュレーションによる流通改革は機能しないと言えます。

このように、日本の特徴的なメディア環境も一因となって、「キュレーションが発見されない」という問題が起こり、情報流通の分散化が起こらないわけです。

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