マツダのロータリースポーツカーのコンセプトモデル「マツダ・アイコニックSP」がジャパンモビリティショー2023に出品されました。ロータリーハイブリッドを搭載する後輪駆動の2シータースポーツカーです。今回はカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが新しいロータリースポーツカー、アイコニックSPの価格やサイズ、外観、内装などのスペックを解説します。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」のボディサイズ
アイコニックSPのボディサイズは、全長4,180mm、全幅1,850mm、全高1,150mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)2,590mmというもの。
同じマツダの2ドアスポーツカーである現行ロードスターのボディサイズ(全長3,915mm、全幅1,735mm、全高1,235mm、ホイールベース2,310mm)に比べると、ひとまわり大きいです。
むしろ1991年に発売されたロータリーエンジンを搭載したマツダのスポーツカー、3代目RX-7のボディサイズ(全長4,295mm、全幅1,760mm、全高1,230mm、ホイールベース2,425mm)に近い印象も受けます。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の外観(エクステリア)
アイコニックSPの外観の特徴は低いボンネットです。開発スタッフは「コンパクトなロータリーエンジンを搭載するため、ボンネットをここまで低くできました」とコメントしました。
それでも今は、ボンネットやフロントワイパーなどが歩行者の頭部と衝突した時のダメージを小さく抑えなければなりません。そのためには、ボンネットとエンジンや補機類の間に十分な空間が必要です。
衝突時にボンネットを瞬間的に持ち上げる機能もありますが、市販される際にはここまでボンネットを低く抑えることは難しいかもしれません。それでもかなり低く、カッコイイ外観に仕上がりそうです。
アイコニックSPのフロントマスクは現行ロードスターに似た顔立ちで、正面から見た時の表情は、笑っているようにも見えます。
またヘッドライトは、初代ロードスターのように格納されるタイプです。ただし車両重量の増加も考えると、市販車として登場する際には採用されない可能性もあります。
アイコニックSPの外観を横方向(サイド)から見ると、前輪がフロントピラー(柱)やウィンドウに対して大きく前側に押し出され、典型的な後輪駆動のデザインです。
マツダ車らしくボディパネルにボリューム感があり、特に後輪は、外側へ張り出したように見えてカッコイイです。
アイコニックSPに採用されたボディカラーは、鮮やかなヴィオラ・レッド。業界やユーザーにインパクトを与えたソウルレッドプレミアムメタリックを新たに作り上げるなど、ボディカラーにこだわりを見せるマツダ車らしさを表現しています。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の内装(インテリア)
アイコニックSPの車内を見ると、2人乗りなので後席は装着されません。
ショーモデルのため市販車とは異なりますが、メーターフードが大きく張り出し、後輪駆動らしくセンターコンソールの高い囲まれ感のあるデザインが特徴です。
着座位置はスポーツカーらしく低めで、サイドサポートの張り出したシートは、乗員の身体をしっかりと支えることができます。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」のパワーユニット
アイコニックSPのパワーユニットは、ロータリーエンジンを使ったハイブリッドです。マツダ 新型MX-30ロータリーEVでは、ロータリーエンジンが発電機を作動させて駆動はモーターが担当しますが、アイコニックSPでは、モーターと合わせてロータリーエンジンも駆動を行います。
したがってアイコニックSPでは、ロータリーエンジンならではのシャープで滑らかな吹き上がりを味わえます。マツダ RX-7に代表されるロータリースポーツカーの再来といえるでしょう。
アイコニックSPに搭載されるロータリーエンジンは、新型MX-30ロータリーEVに使われた831ccのユニットがベースです。
新型MX-30ロータリーEVはシングルローターですが、アイコニックSPは2ローターとなります。ロータリーユニットを2つ直列配置したハイブリッドなので、ロータリーユニットの後部にモーターを連結させるのでしょう。
かつて日産 スカイラインなどが搭載したハイブリッドのように、後輪駆動方式に適したレイアウトです。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の最高出力、最大トルク
マツダのデータによると、アイコニックSPの最高出力は370馬力です。
新型MX-30ロータリーEVのハイブリッドは、発電用なので最高出力が72馬力、最大トルクは11.4kg-mに抑えられました。2ローターなら144馬力・22.8kg-mです。
しかしアイコニックSPは、ロータリーエンジンが駆動も行うためさらにパワフルです。
以前のRX-8は654cc×2ローターながら、最高出力は235馬力、最大トルクは22kg-m(後期型)でした。
おそらくアイコニックSPもエンジンの最高出力は240馬力前後で、モーターが130馬力を上乗せするような駆動力配分でしょう。
そのためにアイコニックSPは吹き上がりの良いロータリーエンジンと、アクセルペダルを踏んだ瞬間に高い駆動力を発揮するモーターの相乗効果が期待されます。力強く滑らかで、なおかつ機敏な走りを楽しめるでしょう。
今はエンジンを搭載しない電気自動車を含めて、モーター駆動の車種が増えていますが、ロータリーハイブリッドは、従来の電動車とは違う走る楽しさを生み出します。
ロータリーエンジンにとっても、モーター駆動との組み合わせは、今までになかったチャレンジです。
新型MX-30ロータリーEVのロータリーエンジンは、あくまでも発電用ですが、駆動を行うアイコニックSPは新時代ロータリーエンジン車の本命になります。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の車両重量
アイコニックSPの車両重量は1450kgと公表され、RX-8に比べて約100kg重いです。
しかし全幅が1,850mmとワイドなこともあってロータリーエンジンに相応しい積極的な走りを楽しめるでしょう。アイコニックSPの前後輪の重量配分も、50:50とバランスが優れています。
また車両重量を1450kgに抑えると、モーター駆動だけで長距離を移動できるリチウムイオン電池などは搭載できません。
トヨタ 新型プリウスのプラグインハイブリッドも、車両重量は1570kgに達しているほどです。アイコニックSPはロータリーエンジンを主力としたハイブリッドになるでしょう。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の将来性
そしてロータリーは、理論的には燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素エンジンとも親和性が高いです。限定リース販売されたRX-8ハイドロジェンREは、水素とガソリンを選択できるロータリーエンジンを搭載しました。
アイコニックSPは、多様化する今後の燃料事情に向けて、柔軟に対応できるパワーユニットでもあります。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の価格
アイコニックSPの価格は不明ですが、新型MX-30ロータリーEVでも、最上級グレードは491万7000円に達します。
アイコニックSPは、新型MX-30ロータリーEVと違って充電機能を搭載しない可能性も高いですが、パワーユニットからプラットフォーム、ボディまで新開発されるピュアスポーツカーです。
同じく2ドアのスポーツカーである日産 フェアレディZのバージョンSTが665万7200円、NISMOが920万400円といった価格設定も踏まえると、アイコニックSPは900〜1100万円に達するでしょう。
したがってライバル車は海外の比較的コンパクトなスポーツカーで、ポルシェ ケイマンS(1039万円)、アルピーヌ A110GT(1060万円)などが該当します。これらのスポーツカーと張り合えるクルマに熟成させて登場するでしょう。
販売店によると「アイコニックSPの発売時期は未定ですが、ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーを待っているお客様は多く、(2023年10月下旬時点で)すでに問い合わせが入っています」とのことです。
マツダファンやクルマ好きにとって、期待度のきわめて高いスポーツカーといえるでしょう。
マツダロータリースポーツカー「アイコニックSP」の評価・レビュー
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【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:佐藤 正巳/小林 岳夫/堤 晋一/マツダ/アルピーヌ】
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