競技歴は77年!93歳のラガーマン「倒れても立ち上がれる。これがいい」ラグビー人生の集大成

愛媛県内で開催された、シニアのスポーツと文化の祭典「ねんりんピック」。ラグビー交流大会には、愛媛選手団の最高齢、93歳の男性が出場しました。競技歴はなんと77年。長く続けられた秘密を聞きました。

愛媛県西条市に住む中野安博(やすひろ)さん、御年93歳。

ラグビーとの出会いは戦後間もない1946年、現在の県立松山工業高校に通っていた16歳の時でした。以来、夢中になり、競技に打ち込むため中央大学へ進学。卒業後は地元へ戻り、仕事の合間にボールを追い続け、県の代表として国体にも2度出場しました。そして気付けば競技歴は77年に。

中野さん
「みんなが仲良くして仲間に入れてくれたけん。いつの間にか70年経っとったんよ」

現在は、40歳以上のラグビー好きが集まる「愛媛思惑(しわく)クラブ」で、週に1回、仲間と汗を流しています。

「ラグビーのどんなところが面白いですか?」
「何もかもが面白いよ。倒されてもまた立ち上がってやれるでしょ。これがええんよね。負けず嫌いだから」

ところで、さまざまな色のパンツを着用しているメンバーたち。これは、上の年代にはタックルできないという、シニアラグビーならではのルールがありその目印になっているんです。60代は赤、70代は黄色、80代は紫、そして、90歳以上は金色。

チーム唯一のゴールドの中野さんですが、今年のねんりんピックを最後に競技からの引退を決意しました。

「もう十分やったから。いつの間にか90歳超えとったんやから、いつの間にやらですよ。まだ自分の気持ちでは70代ぐらいやと思とんよ」
「後悔はない?」
「ない」

迎えた交流大会当日。

「意気込みは?」
「やれるだけのことはやってみようと思う。70年の集大成です」

スタメンに名を連ねた中野さんは、試合が始まるとアスリートの顔に。途中、倒されてしまう場面もありましたが…、すぐに立ち上がります。

スクラムを組んで―。
グラウンドを走って―。

交代までのおよそ6分間、楕円のボールを追い続けました。

「自分の精いっぱいをやったから、後悔することはないです。自分なりに100点満点。これでいい花道になります」

その勇姿に所属する愛媛思惑クラブの後輩たちも大いに刺激を受け、試合は見事、勝利。偉大な先輩の花道を飾りました。

愛媛思惑クラブ 大西和人さん(75)
「すごいね、これからのラグビー人生に参考になりますね。目標は中野さんみたいに90過ぎてからでもやりたいなという思いはあります」

愛媛思惑クラブ 兵頭さん(68)
「自分の足でしっかりとボールを持ってプレーができるのは鏡ですね。私生活もちゃんとしているから今までできたんじゃないかなと思います。引退はさせません(笑)迎えに行きます」

77年のラグビー人生。長年、続けてこられたのは、競技を愛する心と仲間の存在があってこそでした。

中野さん
「日々ラグビーが楽しみやった。とにかく好きということだけは間違いない、じゃなかったらこれだけ続かんよね。あとは仲間」

90歳以上の選手が着用できる栄光のゴールドパンツ。それは後輩へと受け継がれます。

「中野さんにとってラグビーってどんな存在ですか?」
「どんな存在って…、もう自分の分身ぐらいに思っとる(笑)」

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