茨城県日立市の日立商工会議所会頭などを務めた同市諏訪町、山本忠安さん(88)が米寿の誕生日を迎えた31日、「まちの観光振興に役立ててもらいたい」と市に1億円寄付した。山本さんは市役所で小川春樹市長に目録を手渡し「市や市民に元気になってほしい」と語った。
山本さんは1935年生まれ。大学卒業後、地元に戻って父親が立ち上げた会社に入社し、プラスチック加工を手がけた。現在はゴルフ練習場経営のほか、特別養護老人ホーム「小咲園」(同市諏訪町)の理事長を務めている。
生まれ育った日立への思いは人一倍強く、同会頭を2001~10年の3期9年間、市観光物産協会長も09~13年度まで5年間務め、地域経済や観光の振興に尽力してきた。
寄付の目的は、まちのにぎわい創出や交流人口の拡大につながる取り組みへの活用。米寿の記念に「市や市民、企業の皆さんに何かご恩返しがしたい」と、私財から1億円寄付することにした。
市役所で小川市長と面会した山本さんは「市民にはどんどん挑戦してもらいたい。立派な方が多くいるので育てていってほしい」と期待を寄せた。
小川市長は「夢のような金額。趣旨に沿って有効に活用する」と述べ、感謝状と、米寿のお祝いにバラの花束を贈った。市は今後、寄付金を財源に基金を設立し、観光振興やまちの活性化につながる事業に充てる。