比軍に同志国支援を初適用へ 政府、監視レーダー供与

岸田文雄首相、フィリピンのマルコス大統領

 政府は4月に創設した同志国軍を支援する枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を初めて適用し、フィリピン軍に沿岸監視レーダーを供与する方針を固めた。岸田文雄首相が11月3日に同国でマルコス大統領と会談し、合意する。中国が東・南シナ海で軍事活動を活発化させる中、フィリピン軍の能力を向上させ、日本の安保環境の改善につなげたい考えだ。複数の関係者が31日、明らかにした。

 OSAは昨年12月に決定した外交・安保の長期指針「国家安全保障戦略」に基づく制度。他国軍への直接支援が本格的に始まることで、政府開発援助(ODA)を中心に非軍事を柱とした戦後日本の途上国支援のあり方が変容しかねないとの懸念もある。

 関係者によると、首相はマルコス氏との会談で、沿岸監視レーダーに加え、海洋状況把握(MDA)能力の向上に資する機材の供与も申し合わせる。自衛隊とフィリピン軍部隊の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の締結に向けた交渉入りでも合意する見込み。中国を念頭に抑止力向上を図る。

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