賛否分かれる“ライドシェア導入”…深刻なタクシー不足の中、問題点は

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。10月18日(水)放送の「HOT Word」のコーナーでは、賛否が分かれている“ライドシェア導入”について取り上げました。

◆海外では当たり前も…日本では賛否が分かれるライドシェア

訪日客が増えたことなどによる需要の増加により、観光地や過疎地で今、"タクシー不足”が深刻な問題となっています。そして、その対策として一般ドライバーが自家用車を使って乗客を有償で運送する「ライドシェア」の導入に向けて、議論が進んでいます。

先日、菅前首相はTOKYO MXのテレビ番組で「観光客の中には乗り物がなくて困っている方もたくさんいます。これは誰が考えても必要。ライドシェアは早くやるべき」と発言。

一方、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟の会合では「安全安心の確保から認めてはいけない」、「運転手の健康チェックをどうするか」など反対意見が相次いでいます。

この件について、番組SNSには「ライドシェアが実現したところで需要のあるところに集中するだけな気も」という意見が寄せられると、キャスターの堀潤は「ライドシェアの考え方や需要は、都市部や地域で違う」と同意。さらには、自民党のなかでも解禁派と既得権益を守ろうとする反対派で意見が割れていることに興味を示します。

株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは、アメリカでUber、アジアでGrabなど、海外でライドシェアの配車サービスを使ってきた経験から「(日本では今)論点が安全面になっているが、実は(配車サービスは)安全で、金額が事前に分かる。乗客とドライバーの相互評価なので(お客は)評価の高いドライバーを選べ、ドライバーもお客を選べる。そういう意味では、安全性は高いと思う」と指摘。

一方で、神保さんは「やはり需要の多い都市部に集中してしまうのではないか」と地方のタクシー不足解消という観点については疑問視。「アメリカも70%が9都市に利用が集中している。地方の足不足を解消するには、もう一段作戦を考えないといけないんじゃないか」と案じます。

◆過疎地域での対策として、運転手の年齢上限80歳も

ライドシェア導入に関しては、菅前首相のほか、河野デジタル大臣や小泉元環境大臣も賛成。一方で自民党タクシー・ハイヤー議員連盟が反対し、国土交通省も導入に慎重な姿勢を見せています。

ただ、その国土交通省は"ライドシェア”ではなく、過疎地域で個人タクシーの営業を承認。さらには運転手の年齢上限を80歳までとしました。これについてSNSでは「高齢者に免許返納を勧めておいて80歳までタクシー営業は運転大丈夫?」など心配する声があがっています。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、今回の件を通し「タクシー業界の強さみたいなものを感じる」と率直な感想を述べます。というのも、この問題が世間で話題になる以前からライドシェア解禁を目指す動き、法規制を掻い潜って実施しようとする動きはあり、アメリカの大手Uber社も国内運用に向けてさまざまな手段を模索するも国土交通省のストップがかかり減退。なかなか前に進むことはできませんでした。

そうした経緯に触れた上で、由井さんは「みんなが困っていて、(配車サービスの)需要は確実にあるわけだから、タクシー業界が主体となって進めれば良いのでは」と提案。タクシー会社が運用しているタクシーアプリとライドシェアの親和性も高いとし、「さまざまなノウハウを活かして、タクシー業界が中心になってライドシェアを進めていくのが一番だと思う」と主張します。

獨協大学特任教授の深澤真紀さんは、ライドシェア導入にあたり安全面で最も大事なことは「保険」と指摘。アメリカのUberもしっかりと保険と連動しており、「(日本では)現段階では運転手の保険だけなので、まずは保険をなんとかしないといけない。政府がまずやるべきはその整備だと思う」と述べていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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