クマの被害防げ、高齢者宅のカキ代わり収穫 富山県滑川市の就労支援事業所利用者

カキを収穫し、枝と実を切り分ける利用者=滑川市大崎野

 富山県滑川市北野で就労継続支援B型事業所を運営するNPO法人「あすなろ倶楽部」は31日、市内の中山間地の住宅で、クマの餌となるカキの実を収穫した。人身被害を防ぐとともに、カキを有効活用するためで、事業所の利用者が高齢の住民に代わって実を取り除いた。

 カキの実の収穫代行は農福連携の一環で、滑川市が協力した。市はクマの大量出没を想定し、6~8月に中山間地の東加積、山加積両地区の町内会を対象に収穫の手伝いが必要かどうかを調査。代行は東加積地区の希望した6軒で11月末まで実施する。

 この日は事業所の利用者4人と支援員2人が、同市大崎野の金川サチ子さん(87)宅の畑を訪れ、枝切りばさみを使って高い所のカキを収穫した。

 金川さんによると、今年は実が多かったが、自身は高齢で、同居の家族も日中は働いているため収穫は難しかったという。「(県内の人身被害の)ニュースを見て心配だった。自分で採るのは難しいので本当に感謝している」と語った。

 収穫した実は家庭に希望量を渡し、残った分をあすなろ倶楽部がドライフルーツや干し柿に加工して販売する。北村憲幸理事長は「農福連携の取り組みをさらに広げたい」と話した。

ドライフルーツにするカキを並べる利用者=滑川市北野のあすなろ倶楽部
カキの皮むきをしたり、ドライフルーツ用の大きさに切ったりする利用者
31日に滑川市大崎野の畑で収穫したカキ

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