コーチ業との二足のわらじを履く伊藤竜馬が3回戦進出「今が一番楽しい。気楽にできている」[全日本テニス選手権]

伊藤竜馬、男子シングルス最年長優勝を狙う「モチベーション上がった」

「三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権98th」(東京・有明/10月28日~11月5日)の男子シングルス2回戦などが31日に行われ、2度の優勝を誇る第3シードの伊藤竜馬(興洋海運)らが3回戦に駒を進めた。

2013、2018年と2度の同大会優勝を誇る伊藤は、「木下グループジャパンオープン」(東京・有明/ATP500)でツアー初勝利やトップ10撃破などでベスト4入りを果たした20歳の望月慎太郎(IMG Academy/世界ランク133位)のコーチとしても活躍するなど、二足のわらじを履いているが、今大会では久々に選手として専念。12度目の出場で第3シードとして迎え、初戦となった2回戦で小倉孝介(フリー)と対戦した。

試合は、序盤からリードを許す苦しい展開となったものの、徐々にリズムが噛み合ってくると、1-4から5ゲームを連取し第1セットを奪う。第2セットこそ伊藤の動きが止まり、4度のブレークを許して落としたが、最終セットでは「長いラリーをせず、3、4球目で打って、ミスしてもいいから攻めよう」と積極的なプレーに加えて、フィジカル面で問題が出た小倉を突き放して6-0。1時間54分のフルセットの末に3回戦進出を果たした。

「(望月)慎太郎がサーブ&ボレーをしていて、僕もやろうと思ったら、全然タッチが…(笑) 天性のタッチが慎太郎にはあるのかなと思った」と会見で笑顔を見せた伊藤。コーチを経験したことで「浮き沈みはこの1、2年で減りましたね。客観的に自分を見られるようになったというのは、コーチなどをしてすごく成長した」と精神面でプラスの効果があったという。

以前は勝負の世界で戦っているがゆえに、自身にプレッシャーをかけてピリピリしていたとするが、「正直、今が一番楽しい。気楽にできているというので、楽しめている自分を味わえている。選手である以上は優勝を目指したいが、まずは自分のプレーを楽しみ、駆け引きを楽しんでプレーしたい。家族、ファンも見ているので、自分の持ち味を見せられたら一番いい。そこは自分との感情の戦い」と気負わずプレーしていきたいとした。

また、優勝すれば、1980年大会に九鬼潤が記録した34歳9ヵ月での今大会男子シングルス最年長優勝記録を更新すると伝えられると、驚いた様子で「それを聞けて良かったです。さらにモチベーションが上がりました」と新たな目標にする。

そのほか、31日に行われた男子シングルス、ダブルスの結果は以下の通り。

<男子シングルス2回戦>

○川橋勇太(マイシン)[11] 4-6 6-2 6-0 ●藤原智也(慶應義塾大学)

○松田龍樹(ノア・インドアステージ)[6] 6-1 7-5 ●山中太陽(EMシステムズ)[Q]

○徳田廉大(イカイ)[5] 6-3 4-6 6-4 ●田口涼太郎(Team REC)

○市川泰誠(ノア・インドアステージ)[10] 6-1 6-0 ●丹下颯希(日本大学)[Q]

○山尾玲貴(九州電力)[Q] 6-2 7-6(3) ●楠原悠介(伊予銀行)[15]

○伊藤竜馬(興洋海運)[3] 6-4 4-6 6-0 ●小倉孝介(フリー)

○齋藤惠佑(富士住建) 3-6 6-2 6-2 ●西脇一樹(Team REC)[8]

○片山翔(伊予銀行)[9] 6-3 6-4 ●山﨑純平(日清紡ホールディングス)

<男子ダブルス1回戦>

○上杉海斗(江崎グリコ)/松井俊英(ASIA PARTNERSHIP FUND)[1] 4-6 6-3 [11-9] ●楠原悠介(伊予銀行)/河野優平(伊予銀行)[WC]

○中川舜祐(伊予銀行)/高畑里玖(早稲田大学)[WC] 6-2 3-6 [10-4] ●田島尚輝(やまやコミュニケーションズ)/磯村志(やすいそ庭球部)

○江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)/野口政勝(エキスパートパワーシズオカ)[WC] 7-6(4) 6-7(5) [10-3] ●正林知大(Team REC)/齋藤惠佑(富士住建)

○市川泰誠(ノア・インドアステージ)/渡邉聖太(橋本総業ホールディングス)[2] 6-4 6-4 ●住澤大輔(エキスパートパワーシズオカ)/河内一真(橋本総業ホールディングス)

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